「韓国人女性の性奴隷は自発契約」 ハーバード大教授の論文に中国や韓国、北朝鮮が反発
(CNN) 第2次世界大戦中に旧日本軍の従軍慰安婦にされた韓国人女性は、実際には売春を強要されたわけではなく、自発的な契約に基づき売春婦になることを選んでいたという論文を米ハーバード大学の教授が発表し、中国や韓国、北朝鮮が反発を強めている。
ハーバード大学ロースクールで日本の法律を研究するマーク・ラムザイヤー教授は、昨年12月にこの論文を学術誌に発表した。印刷版は今月発行される予定。
論文の中でラムザイヤー教授は「『慰安所』と呼ばれる戦争中の売春宿をめぐる韓国と中国の長期にわたる政治的論争は、関係する契約上の力学を見えにくくさせている」と指摘。当時、日本の統治下にあった韓国の女性たちが、自発的な契約に基づいて日本軍のために売春婦として働いた経緯に脚光を当てている。
この論文に対して中国と韓国、北朝鮮は、女性たちに選択肢が与えられたことはなかったと反論した。
中国外務省の華春瑩報道官は先月の記者会見で、「『従軍慰安婦』の強制徴用は、アジアなど第2次世界大戦中に被害に遭った国の人々に対して日本軍国主義が犯した重大な人道に対する罪にあたる。これは確固たる証拠に基づく国際的に承認された歴史的事実だ」と強調した。
韓国女性家族省はこの論文について先月、「真に嘆かわしい。被害者の尊厳と名誉を汚すような事案が二度と繰り返されないことを願う」とする声明を発表した。
北朝鮮の国営メディアはラムザイヤー教授を「えせ学者」と呼び、「過去の犯罪を隠蔽(いんぺい)するという日本の反動勢力の恥知らずで不道徳な行為を支持しただけでなく、性奴隷の被害者を自発的な売春婦と呼んで侮辱した」と報じた。
この論文をめぐって米国務省は、「韓国と日本に対しては以前から、癒やしと和解を促進する形で歴史に関連した問題に連携して取り組むよう促してきた」と説明。「性を目的とする女性の人身売買は、第2次世界大戦中の日本軍によるものも含め、甚だしい人権侵害にあたる」とした。
ハーバード大学アジア太平洋米国法学生協会が先月開いたウェブセミナーでは、活動家や元慰安婦の女性がラムザイヤー教授の論文を「馬鹿げている」と形容し、無視すべきだと訴えた。
CNNはラムザイヤー教授にコメントを求めたが返答はなかった。
問題の論文を掲載した学術誌の「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス」はこのほど発表した声明の中で、「この論文に記載された歴史的証拠に関する懸念が浮上した」と説明、そうした懸念に関して論文の筆者と協議を続けながら、複数の専門家からコメントを募っていることを明らかにした。