ウクライナ農家、ロシア軍が大量の穀物を略奪と証言 飢餓の歴史再来の懸念
(CNN) ロシア軍がウクライナの占領地で農家から大量の農業機械や穀物を略奪していると、複数の関係者がCNNに語った。食糧貯蔵庫も砲撃の標的にされているという。
特にウクライナ南部のヘルソンやザポリージャなどの穀倉地帯では、ロシア軍が統制を強め、略奪を加速させていると関係者は訴える。そうした地域では種まきの中断や中止を余儀なくされた農家も多く、世界有数の穀物生産国ウクライナで、今年の収穫が脅かされる恐れもある。
農業専門家がCNNに語ったところによると、ロシア軍の侵攻が始まる前日の時点で、600万トンの小麦と1500万トンのトウモロコシがウクライナから輸出できる状態にあり、その大半が南部で保管されていた。
ウクライナ国防省は5日、これまでに推定40万トンの穀物が盗まれたと発表した。
ヘルソン州やザポリージャ州の農家などは、具体的な略奪の状況を証言している。
ヘルソン州のマラ・レペチカ村では4月下旬、ロシア兵が1500トンの穀物を、クリミア半島のナンバープレートが付いたトラックで貯蔵庫から持ち去ったという。翌日には同じトラック(全部で35台)が戻って来て、ドニエプル川の対岸にあるノボラジスクの大型穀物貯蔵施設を空にして行った。
ロシア軍に占領されたザポリージャ州メリトポリの市長は、ロシア軍を象徴する「Z」の文字が入ったトラックが、穀物を積んでクリミア半島に向かう様子を映した動画をCNNに提供した。市内の主要倉庫は空になっていた。