レバノンからイスラエルにロケット弾数十発、モスク突入で地域の緊張高まる
イスラエル警察は5日、エルサレムのアルアクサ・モスクを2度にわたり急襲した。イスラム教のラマダン(断食月)にパレスチナ人が礼拝している最中に実施したため、地域の緊張は非常に高まっている。
IDFの報道官はイスラエル警察の急襲とロケット弾発射を結びつけ、モスクへの進入が「大きな負のエネルギー」を生み出したとの見解を示した。
モスク内部の映像には、イスラエル当局がパレスチナ人を警棒やライフル銃の台尻で殴り、数百人を連行していく様子が映っていた。イスラエル警察はモスクへの進入を「数百人の暴徒」が内部に立てこもろうとしたためだと説明している。
イスラエル警察の対応にアラブ諸国やイスラム諸国からは非難が集中。ガザからイスラエルに報復のロケット弾攻撃も行われた。
隣国ヨルダンのサファディ外相はCNNの取材に「我々は非常に危険な時点にいる」と述べ、「レバノン国境の現状は明らかにその結果となっている。アルアクサ(モスク)で我々が目撃した事態への反応だ」と続けた。
イスラエル軍は攻撃がハマスか、ガザ地区の武装組織「イスラム聖戦」によるものとみている。
軍報道官は、IDFが「ヒズボラは知っていて、レバノンにも責任はある」と考えていることを明らかにした。ただ、攻撃自体はパレスチナ勢力によるものと認識していると強調。事態がイスラエル・パレスチナ間の紛争当事者以外に拡大するものではなく、沈静化が徐々に可能との期待をにじませた。
レバノン国営通信によると、レバノン外務省は国連と協力し、南部の「平穏と安定」の回復を進める準備ができていると発表。国際社会に対し「事態悪化を回避するためにイスラエルに圧力をかける」ように呼びかけた。
国連レバノン暫定隊(UNIFIL)は両国間の暴力の拡大は「非常に深刻」と述べた。国境に駐在する隊員に防空シェルターへの移動を指示したという。
米ホワイトハウスは「暴力の継続を極めて懸念し、あらゆる当事者に事態悪化の回避を求める」と述べた。