自宅も学校もオフィスもがれきに、ハンユニス帰還の住民が見た惨状 ガザ
やつらが僕たちを破壊した
ハンユニスで撮影中もずっと、イスラエルのドローン(無人機)が上空を飛行する音が聞こえ、時折銃声も鳴り響いた。
電話会社のオフィスだったと思われる部屋の壁には、イスラエルを象徴するダビデの星と、アラブ系を中傷する言葉が英語で落書きされていた。
崩れた建物の壁にはアラビア語で「ガザはユダヤ人のもの」という落書きがあった。
ガザ第2の都市ハンユニスには、ハマスがイスラエルを攻撃した昨年10月7日前の時点で40万人以上が暮らしていた。
今回の戦争が始まって間もなく、イスラエルの攻撃を逃れたガザ北部の住民は数千人がハンユニスに避難した。
しかし昨年12月初旬にイスラエルがハンユニス攻撃を開始すると、ここで暮らしていた人たちもさらに南へと避難を余儀なくされた。
今、南部のラファでは悲惨な人道状況の中で、100万人以上のパレスチナ人が暮らす。イスラエルはラファに対する攻撃も計画している。
ハンユニスに戻った住民にも安らぎはなかった。
破壊された自分の学校の前に座っていたアブデルカリムさんは、もう学校ヘは戻れないと分かっていたので、読み書きをしながらラファで避難生活を送っていたといい、「これからどうやって勉強すればいいの?」と問いかけた。「生活が消えた。僕たちの子ども時代がなくなってしまった。やつらは僕たちを破壊した」