ロシア軍、ウクライナ東部で着実に前進
ウクライナ側の撤退と失地が続くなか、軍事ブロガーからは、ウクライナ軍の公式の発表をめぐり、軍が戦場から、ますます非現実的な情報更新を行っているとの批判の声が出ている。
ディープステートはSNSへの投稿で、ドローン(無人機)攻撃によってロシア軍の兵士が死亡する凄惨(せいさん)な動画を公開しつつ、単独の事案が大局を覆い隠してしまうことがあるとして、ウクライナ軍が同様のことを行っていると非難した。
多くの西側の専門家はウクライナ当局者と同様に、ロシア軍の現在の進行速度の増加は、春の後半の大規模な攻勢の前兆であるとみている。ロシア政府が、約半年にわたる政治的な膠着(こうちゃく)状態を経て承認された米国からの支援が前線に届く前に、弾薬面での大きな優位を活用したいと考えているともみられる。
米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」は、戦略的に大きな敗北はないものの、短期的な後退は増えるとの見通しを示している。
ISWは、ウクライナが米国からの軍事支援が前線に到着するのを待っているため、ロシア軍は今後数週間、大きな戦術的前進を遂げる可能性が高いものの、依然としてウクライナ軍の防衛を圧倒する可能性は低いと指摘した。
ウクライナのもう一つの重要な量の面での弱点は人員だ。ウクライナでは動員に関する新たな法案が来月にも施行され、徴兵のための手続きが改善されるとみられている。ウクライナ政府は実際に何人の兵士が必要なのか明確にすることを避けているが、ロシア政府は兵士の人員を増やし続けている。
米シンクタンク「外交政策研究所」の専門家はSNSへの投稿で、ロシア軍兵士の質はさまざまだが、量的な優位は深刻な問題だと指摘。ロシア軍の人員面での優位性がなければ、砲兵や空軍力の優位性は戦場で領土を獲得するには十分ではないとし、特にロシアが毎月2万から3万人の採用を維持できれば、相対的な兵士数の状況が戦争の行方を左右する最も重要な要素となる可能性が高いとの見通しを示した。