ガザ各地で相次ぐ退避命令 数十万人が何度も移動、避難先は過密状態
ザアヌーン氏は、残った所持品をベビーカーに乗せ、がれきと化した道路を歩く一家の写真を公表した。
イスラエル軍は、ガザ市の複数地区に過去10日で3度目となる退避命令を出したことを確認した。
OCHAの推計によると、6月27日に退避命令が出されたシュジャイヤでは約8万人が生活していた。約25万人がいたハンユニス東部とラファには、イスラエル軍が7月1日に退避命令を出した。
イスラエル軍がハンユニス東部とラファからの避難先に指定した「人道区域」のマワシ地区には、医療拠点や移動キッチン、下水処理施設などがある。しかし避難してきた人たちは、ただでさえ過密状態にあり、基本的なサービスもインフラもスペースも不足している場所へ押し寄せているという。
繰り返される退避命令は、ガザ地区で今も稼働している数少ない病院にも大きな影響を与えている。
7月2日、イスラエル当局は、ハンユニスにあるヨーロッパ病院は退避命令の対象にはならないと説明した。
しかし既に遅かった。スタッフも患者も既に退避しており、国連職員はこの病院について「患者はいないし機材もない。もはや機能していない」と伝えた。
ヨーロッパ病院から避難した人の多くは、近くのナセル病院に詰めかけ、同病院は満員になった。
人工呼吸器や麻酔といった機材の多くはヨーロッパ病院からナセル病院に移動させることができた。しかし、いつまた移動を強いられるのかという医療スタッフの不安は消えない。