ガザ、50万人が「壊滅的飢餓」に直面か 報告書予測
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が続く中、約50万人が「壊滅的な飢餓」に直面すると予測されていることがわかった。25日に発表された国連が支援する食料安全保障の調査「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の報告書で明らかになった。これはIPCの尺度で最も深刻なレベルで、人々は「極度の食料不足、飢餓、対処能力の枯渇を経験する」とされる。
報告書はガザの人口の96%にあたる200万人以上が少なくとも9月末まで壊滅的な食料不安に直面することになるとし、ガザ地区全体で人道支援を継続的に実施し、敵対行為を停止することだけが同地区で飢饉(ききん)が発生するリスクを軽減できると訴える。
南部ラファへのイスラエルの攻撃が増すにつれ、大規模な避難民が発生。基本的な衛生設備を利用できない難民キャンプで感染症がまん延している。停戦合意がすぐに得られる兆しはなく、救援活動家らは現地の民間人の苦しみは募る一方だと述べている。
報告書は「食料を購入するために半数以上の世帯が衣服を現金に換えなければならず、3分の1がごみを拾って売らざるを得なかった」「半数以上が家に食料がないことが多く、20%以上が数日にわたり何も食べずに過ごしていると報告している」と述べている。
ガザで人道支援を提供する場所は縮小し続けており、住民に支援を安全に届ける能力は低下しているという。「最近は悪化の傾向にあり、非常に不安定だ。この状態が続けば、(食料の配布が一時増加したことで)4月に見られた改善は急速に逆転する可能性がある」
人道支援活動家らはガザの状況は耐え難いと警告している。
国連世界食糧計画(WFP)のシンディ・マケイン事務局長は「ガザ住民が必要としているのは食料だけではない。水、衛生、医療が必要だ。これらすべてが飢饉の原因だ」と警鐘を鳴らす。
ある人道支援機関の当局者はCNNに対し、「北部で見られたような状況に急速に戻ると思う。北部では30万人前後だったが、規模ははるかに大きくなる。現在、中南部地域では150万~180万人が同様の状況にあるからだ」と語った。
非営利団体の関係者は「過酷な夏の暑さに加え、清潔な水を利用できず、ごみや下水にさらされることによって苦痛はさらに増している。この致命的な問題は、間違いなく深刻な被害と死につながる」と訴えた。