ガザに夏の暑さ襲い公衆衛生さらに悪化 ハエや蚊が群れ、生ごみ堆積
(CNN) 人道危機下にあるパレスチナ自治区ガザ地区で夏季の暑さが募る中、住民数十万人が公衆衛生のさらなる悪化にさらされる窮状に追い込まれる状況となってきた。
汚物はそのまま放置され、ハエや蚊の大群が住民を襲い、生ゴミなどは路上にうず高く堆積(たいせき)。ガザ市北部の住民はCNNの取材に、飲み水などの供給は過去9カ月間切れていると嘆いた。
「大群の昆虫が飛び交う光景を初めて目撃している」とし、「その名前は知らないが、我々や子どもたちの体を刺してくる」と訴えた。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は最近、ガザ住民が直面している広範な健康被害を報告。A型肝炎、皮膚病や呼吸器系疾患が含まれるとし、飲料水などを入手できる機会は危険水域に近いまでに少ないと警告した。
OCHAによると、ガザ中部デイルアルバラにある1カ所の避難施設で個人1人が1日あたりで確保できる水の平均的な量は1リットル未満。国際的な基準で1人が生き延びるに最低限必要とされる量の3リットルにはるかに及ばない。
安全な水の安定的な供給は疾病の広がりを防ぐのにも欠かせない。しかし、OCHAはガザにある配水や公共衛生関連の施設の3分の2が戦闘で破壊されたり、損壊したりしたと報告。他の施設の多くも治安の悪さや電力や燃料不足などで機能不全に陥っているとした。
ガザの平均的な最高気温は今後数週間で30度前半になると予想されている。酷暑にでもなれば衛生環境の危機が一段と深まる恐れも強い。
ガザ市北部の住民は、使わないでいる水泳用プールが昆虫を引き寄せる温床になっていると指摘。「日中ははえが飛んできて、夜は蚊が増える」とし、「夜間に火を起こし、生ゴミを燃やし、集まって飛んでくる昆虫が消えるまでこの作業を続けている」と述べた。
ただ、住民は1日の大半、マスクを着用しているとも明かした。ディーゼル油の代わりに揚げ物用の油を使って一部車両を走らせているためで、呼吸が困難になるというのが理由だった。
ガザ市行政当局の報道担当者はCNNの取材に、市内の様々な場所で下水処理の配管網などで大規模な漏出があり、地中海にも流れ込んでいるとの現状を説明。配水管網の長さにして4キロ以上が破壊や損傷を受けており、戦闘の最中での修復作業は途方もない労苦になるとも話した。