アムネスティ報告書、ボコ・ハラムから逃れた少女を軍が拘束・虐待か ナイジェリア
(CNN) ナイジェリアの北東部でイスラム過激派ボコ・ハラムによる拉致から解放された少女や若い女性らが、引き続き深刻な苦難に見舞われていることが、 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの新たな報告で分かった。具体的には違法な軍による拘束や放置、支援が足りず正常な生活に戻れないといった事態が生じているという。
軍による長期にわたる拘束の例は最近になって減少したものの、10日に公表された報告では依然として多くの女性が不適切な扱いを受けている実態が明らかになった。報告は被害に遭った少女や若い女性らに対し、ボコ・ハラムによる拉致や強制的な結婚、性暴力がどのように行われたのかを調べる内容。
報告は12~48歳までの少女や女性126人の聴き取り調査を基にしている。この中には子どもの時に被害に遭い、生き延びた82人も含まれる。聴き取りは2019~24年にかけて行ったが、大半は昨年実施したという。
126人のうち、31人はボコ・ハラムから逃れた後も15年から23年半ばの間、軍によって違法に拘束されたと明らかにした。拘束期間は数日から4年以上まで様々だった。
拘束されている間は兵士らから侮蔑を込めて「ボコ・ハラムの妻」と呼ばれ、同組織の行った殺害に関与したと非難されたという。
拘束中に殴られたと訴える女性も複数いた。そのうちの一人は20歳前後の時にボコ・ハラムから逃れたものの、2カ月間兵士たちに拘束されていたと説明した。
拘束中、食べ物は少量を手渡しされ、スープはボウル1杯分を女性たち全員で分けた。トイレの代わりとして、ビニール袋を与えられたという。
アムネスティはこうした調査結果をナイジェリアの連邦及び州の当局へ通知したと明らかにした。
ナイジェリア軍司令部は10日、CNNへの声明で、同軍が「プロフェッショナルな軍隊であり、武力紛争についての国際法が定める範囲内で活動していることを明言する」と述べた。
その上で軍には自主規制の仕組みが存在し、要員による違反行為が確認されれば軍事司法制度がこれに対処すると説明した。
アムネスティによれば聞き取りを行った少女や女性たちは、ボコ・ハラムから逃れた後で軍や政府による取り調べを受ける際、ボコ・ハラム戦闘員との結婚や過激派組織への加入を進んで行ったのかどうかについて問われることがなかったという。このように拉致や強制結婚の被害者だと特定する取り組みがなされていないため、こうした少女や女性たちは本来認められるべき支援を受けるのがより困難になっていると、報告は指摘した。
国連によると09年以降、ボコ・ハラムが引き起こした反政府活動でナイジェリア北東部では推計3万5000人以上が殺害され、200万人が住む場所を奪われた。