ガザ各地で相次ぐ退避命令 数十万人が何度も移動、避難先は過密状態
(CNN) イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区北部のガザ市に再び退避命令を出し、数万人が繰り返しの移動を強いられている。
過去10日間でイスラエル軍は、ガザ南部のハンユニス、中部のシュジャイヤ、ガザ市の複数地区で数十万人に相次ぎ退避を指示した。
国連によると、ガザで避難民となった住民の総数は、5月の推定170万人から今では190万人に増えた。ガザ住民のおよそ10人に9人が避難民となり、多くは何度も避難を繰り返している。
国連人道問題調整事務所(OCHA)はこれほど大勢の住民が避難を強いられた原因として、「イスラエル軍の退避命令、民間および公共インフラの大規模な破壊、必要不可欠なサービスの利用制限、敵対行為の継続に対する絶え間ない恐怖」を指摘した。
ガザ市で何人が退避命令に従ったのかは不明だ。民間人の多くは、現在身を寄せている場所を離れればどうなるのかが見通せない状況にある。路上生活や、退避命令が出るたび各地に出現している人口過密で不衛生なテント村生活を強いられる可能性もある。
パレスチナの通信社WAFAのカデル・ザアヌーン記者は、ガザ市の旧市街など複数地域に対して7日に退避命令が出されたが、その間にもドローン(無人機)による攻撃や空爆が続いていたとCNNに証言した。
「恐ろしかった。人々が逃げ惑っていて、中には車椅子の人もいた。みんなどこへ行けばいいのか分からずパニック状態だった。近くで激しい爆撃があり、空には煙が充満していた」(ザアヌーン記者)
攻撃は一晩中続き、市民が避難している場所の近くで何度も銃声が聞こえたという。
「危険な状況だったため、動かずに朝まで待つことにした」とザアヌーン氏は言う。
しかし同氏の一家など大勢が身を寄せていた場所の近くで夜明けごろ、高層ビルが空爆された。
「この時点で家族の命を守るためにその場所を離れ、危険を冒して市の西部の港湾地区へ避難することにした」(ザアヌーン氏)