フィリピン首都で大規模洪水、台湾も被災 貨物船やタンカー転覆 台風3号
(CNN) 台風3号「ケーミー」が接近したフィリピンで大雨による洪水や土砂崩れが相次ぎ、少なくとも13人が死亡、60万人以上が避難した。首都マニラ沖では強風と高波にあおられてタンカーが転覆し、海上に油が流出している。フィリピン当局が25日に明らかにした。
ケーミーはフィリピンには上陸していない。しかし台風とモンスーンが重なって大雨が続き、マニラやマニラのあるルソン島は、所によって300ミリを超す豪雨に見舞われた。マニラには24日に災害宣言が出され、数万人が避難している。
マニラで撮影された映像には、道路が河川と化す中で、胸の高さまで水につかりながら歩いたり、頭上の電線にしがみついたりする人たちが映っている。子どもたちにタオルやレインコートをかぶせた家族が、浸水した住宅から救助されてボートの上で身を寄せ合っていた。
大雨で冠水した道路沿いでボートから降りる子ども=24日、フィリピンマニラ首都圏東部マリキナ/Lisa Marie David/Reuters
フィリピン通信によると、マニラ首都圏(人口1300万人)では建物の1階の高さまで水につかった地域もあり、屋根の上に取り残されて救助を待つ住民もいた。
地元当局者は「何の備えもなかった。台風は予想していたが、これほどの大雨は予想できなかった」と話している。
浸水した家屋から避難した住民=24日、フィリピン・マニラ首都圏ケソン市/Ezra Acayan/Getty Images
冠水した道路=24日=24日、フィリピン・マニラ首都圏ケソン市/Ezra Acayan/Getty Images
完全に水没した住宅や、冠水した道路に沈んだ車両もあり、25日も浸水した住宅から住民を救助する作業が続けられている。
家が浸水し体育館に避難した住民=24日、フィリピン・マニラ首都圏ケソン市/Ezra Acayan/Getty Images
マニラ南部のケソン市では大きな被害が出ており、市がX(旧ツイッター)に投稿した情報によると、約1万6000世帯の5万5000人あまりが避難所に身を寄せている。
フィリピン赤十字は、被災者支援の緊急募金を呼びかけた。
首都を流れる大動脈のマリキナ川は氾濫(はんらん)し、地元メディアは24日、パシグ市で複数のはしけが橋に衝突する映像を流した。パシグ市長の同日夜の記者会見によると、男性1人がはしけから救出され、近くの病院で手当てを受けた。