米独の長距離ミサイル配備計画、「冷戦を彷彿」 プーチン氏
(CNN) 米国とドイツが2026年から米国製長距離ミサイルをドイツに配備すると決定したことをめぐり、ロシアのプーチン大統領は28日、「冷戦時代の出来事をほうふつとさせる」と批判し、ロシアが対抗措置として同様のミサイルを配備する可能性があると述べた。
プーチン氏はサンクトペテルブルクで開かれた「海軍の日」を記念する式典で、ロシアのインフラが配備予定のミサイルの射程圏内に入ることになると述べ、「米国がそのような計画を実行すれば、我々は海軍の沿岸部隊の能力増強を含め、中距離・短距離攻撃兵器の配備に関する一方的な一時停止から解放されると考えるだろう」と演説した。ロシアの中距離・短距離兵器の開発は「最終段階」にあるという。
米軍は1983年、当時のソ連指導部への警戒から核ミサイル「パーシング2」を西ドイツの米軍基地に配備した。同ミサイルは88年、中距離核戦力全廃条約(INF条約)の発効にともない撤去された。
米国とドイツは今月、ドイツでの兵器システムの配備に関する共同声明を発表。完全に展開されれば、従来型長距離射撃システムに「スタンダード・ミサイル(SM)6」、トマホーク、開発中の極超音速兵器が含まれることになり、これらは欧州に現在配備されている地上射撃システムよりも射程距離が大幅に長いと説明している。
ロシアは核兵器や通常兵器を搭載できる「短距離」および「中距離」地上配備型弾道ミサイル、巡航ミサイル、ミサイル発射装置の配備に関して自主的に行ってきた停止措置を解除すると繰り返し警告している。
2019年に米国がINF条約から離脱した後、同条約の履行停止を発表したロシアは「米国の軍備が特定の地域に配備されない限り、ロシアはこれらのシステムを入手しても配備を控える」と述べた。
INF条約は冷戦以降の欧州の安全保障を担う中心的要素と見なされていたが、ロシアが米国に追随して履行を停止したことで、新たな軍拡競争の懸念を引き起こした。