プーチン氏が夏に滞在する公邸、防空システムを新たに配備 ウクライナのドローン攻撃強化に対応か
(CNN) ウクライナ軍がロシア領深くに位置する標的への攻撃について一段と大胆な姿勢を見せる中、ロシア政府がモスクワ北郊にあるプーチン大統領の公邸の警備をひっそりと強化していることが19日までに分かった。
複数の衛星画像が明らかにしたところによると、バルダイ湖を臨む大統領公邸の付近にはロシアが開発した防空システム「パーンツィリS1」数基が設置されている。
プーチン氏が夏の間滞在することで知られる同公邸は、明確な標的になる可能性がある。宮殿のような邸宅は国立公園の中にあり、施設全体へのアクセスは厳重に制限されている。40ヘクタールの敷地は三方を湖に囲まれ、国立公園とはフェンスで隔てられている。
防空システムの設置は、ラジオ・リバティーが最初に報じた。設備が現地に運び込まれたのは昨年9月から今年5月の間で、ちょうどウクライナがロシア領の深い地点を攻撃可能なドローン(無人機)の使用を強化した時期に重なるという。
米宇宙テクノロジー企業マクサー・テクノロジーズが提供した衛星画像からは、防空システムが現地に戦略的に配備されているのが分かる。公邸からわずか数キロ離れた森の奥深くには塔が1基設置されている。
マクサー・テクノロジーズが提供した衛星画像。プーチン大統領の公邸付近に防空システムが写っている/Maxar Technologies
パーンツィリS1は、短距離巡航ミサイルやドローンへの対抗を想定した兵器であり、公邸付近への配備はいよいよ大胆になるウクライナ軍のドローン攻撃に対処する動きとみられる。
CNNはロシア国防省にコメントを求めたが、現時点で返答はない。
ウクライナは最近、西側が供与した兵器によるロシアへの越境攻撃を許可された。ただこれらの標的は北東部ハルキウ州近くの軍事施設で、ロシアによるウクライナ攻撃を支援しているケースに限定されている。
それ以外のロシア領内深くに対するあらゆる攻撃は、ウクライナが自国で開発した兵器によって遂行しなくてはならない。ドローンはそうした戦略の大部分を占める。