スイスとイタリアが国境を一部変更へ 氷河融解の影響
(CNN) スイスとイタリアが近く、アルプスの名峰マッターホルン付近を走る国境の一部を変更する。国境線の目印とされてきた氷河の融解が進んだためだ。
スイスとイタリアの国境は、氷河や雪原が大半を占めている。スイス政府は9月27日の声明で、氷河が溶けて自然環境が変化し、国境が引き直されると述べた。
両国は昨年、国境変更で合意していた。スイス政府が27日にこれを正式に承認し、イタリアでも承認手続きが進んでいる。合意は双方が署名すればただちに公布され、新たな国境の詳細も公表される。
欧州は温暖化が世界で最も速く進行している地域とされ、氷河はその深刻な影響を受けている。スイスで昨年消失した氷河は4%と、過去最大だった2022年の6%に次ぐ割合を記録した。
スイス連邦工科大学チューリヒ校の氷河学者、マティアス・フス博士がCNNに語ったところによると、今年もこの傾向は変わらず、冬の豪雪を上回るペースで融解が進んだ。
フス氏は国境変更について、氷河融解による「小さな副作用のひとつ」だと指摘。そのうえで、世界地図に直接影響が及ぶことにより、温暖化が引き起こす重大な変化はさらに明白になると述べた。