ウクライナの越境攻撃、3カ月目に入り「常態化」 次の拠点狙う動きも
(CNN) ウクライナ軍によるロシア南西部クルスク州への越境攻撃が3カ月目に入った。ウクライナ軍は依然として数十の集落を支配下に置いており、同州スジャ以外にも新たな拠点を構築しようとする動きも見せている。
ウクライナ軍による越境攻撃によって、ロシアは第2次世界大戦以降で初めて外国の軍隊に領土へ進軍される結果となった。越境攻撃はロシアに恥をかかせたほか、ウクライナ政府の支援国や国際社会に対して、ウクライナが常に守勢に回るわけではないことを示した。
越境攻撃開始から約9週間が経過して、ウクライナ軍の前進は止まり、ウクライナとロシアはこの数日、いずれも大きな攻勢や反抗を仕掛けていない。
最終的な決着は不透明だ。専門家は、ウクライナ政府が最初の勢いを利用して士気を高め、交渉の際の切り札にしようとしているとみている。一方、ロシアのプーチン大統領は、越境攻撃全体を軽視する姿勢を示し、ロシアの戦時体制が越境攻撃に対抗するために投入する人的・物的資源に制限をかけようとしている。
米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」に直近の評価によれば、ウクライナ軍は依然としてクルスク州の約786平方キロを支配下に置いている。
クルスク州に駐留するウクライナ軍の大隊の司令官はCNNの取材に対し、「ロシアの進軍は主に我々の拠点の側面で起きている」と語った。
ウクライナ軍はクルスク州スジャの周辺に主に拠点を築いているが、別の集落に二つ目の拠点を築こうとしている。
英シンクタンク「王立防衛安全保障研究所(RUSI)」の上級アソシエートフェロー、マーク・ガレオッティ氏によれば、ロシアはクルスク州での防衛と反攻のために推定4万人の兵士を配備しているが、初期の部隊は「見つけられるところから集めたものだ」と指摘した。
ロシア政府はその後、より経験が豊富な部隊を配備したものの、おそらくクルスク州の人々が望むほどではない。
クルスク州で戦闘が続くなか、ロシア当局によれば、10万人以上の民間人が住むところを追われた。