イスラエルのジェノサイド裏付ける「十分な証拠」 アムネスティ報告書
アムネスティはガザのイスラム組織ハマスについても、人口密集地周辺で活動して民間人を危険にさらした責任はあるとしながらも、それでもイスラエルが国際人道法に基づいて民間人を守る義務や無差別攻撃を回避する義務は免れないと強調する。
さらに、米国製のJDAM(統合直接攻撃弾)のような兵器の過剰使用にも言及。住民が寝ている午後11時から午前4時の間に予告なくそうした爆弾が使用され、人口密集地の住宅や病院が空爆されたケースもあるとした。
イスラエル軍によるガザ北部ジャバリアの住宅砲撃により殺害されたパレスチナ人の遺体=11月10日/Dawoud Abu Alkas/Reuters
具体的な事例として、2023年12月、子ども11人を含む民間人少なくとも30人が死亡したラファの集合住宅に対する攻撃を引き合いに出している。
犠牲者の一人だった生後3カ月のアイラ・ナスマンちゃんは、母と祖母、5歳と4歳の姉妹と共に死亡した。生き残った父のアフマドさんは、4日間かけてアイラちゃんの遺体をがれきの中から掘り起こした。5歳の娘アルワちゃんの遺体は、爆発の衝撃でバラバラになっていたという。
今回の調査で焦点を当てたのは、イスラエルの空爆のごく一部にすぎないとアムネスティは述べ、イスラエル軍による無差別攻撃は、調査を行った9カ月の間、何度も繰り返されたと指摘する。
今回の戦争を通じた負傷者の驚異的な多さにも言及し、ジェノサイド条約で禁じられた「重大な身体的または精神的な危害を加える行為」に該当すると判断した。世界保健機関(WHO)は、7月下旬までに推定およそ2万2500人が、人生を一変させ、長期のリハビリを必要とする重傷を負ったと推定。3000人以上が手足を切断したと報告している。パレスチナ保健省は最近、負傷者の総数は10万人を超えたと発表した。