イスラエルのジェノサイド裏付ける「十分な証拠」 アムネスティ報告書
悪化を続けるガザの人道状況をめぐっては、イスラエルが民間人の生存に不可欠なインフラなどの破壊を繰り返し、ガザのパレスチナ人を「崩壊寸前」に追い込んでいるとした。
報告書には、ガザへの人道支援が妨害され、飢餓の危機が深刻化している実態を裏付ける証拠も盛り込まれた。国連によると、11月にガザに入った人道支援トラックの数は激減し、2023年以来の月間平均のわずか36%にとどまった。
道路脇に駐車されたパレスチナ自治区ガザ地区行きのトラック=10月16日、エジプト北東部アリーシュ/Ali Moustafa/Getty Images
パレスチナ人に対する集団避難の強制については、「危険かつ非人道的」と報告書は形容。民間人は繰り返しイスラエル軍の命令によっていわゆる「人道区域」に避難させられ、そこでは避難場所もほとんどない状態で何度もイスラエルの空爆の標的にされたと指摘した。
「イスラエルはガザの住民220万人の90%を、多くの場合は何度も繰り返し、縮小する一方の狭い土地へと強制的に移住させ、基本的なインフラさえない場所で、計算された死へジワジワと追いやる条件での生活を強制した」(報告書)
パレスチナ保健省によると、23年10月に戦争が始まって以来、ガザでは4万4000人以上が死亡し、10万4000人が負傷した。
ガザ中部デイルアルバラにあるパレスチナ避難民のためのテントキャンプ/Hassan Jedi/Anadolu/Getty Images
アムネスティのカラマール事務総長は今回の報告書を国際社会に対する警鐘と位置付け、イスラエルに武器を移転し続ける国はジェノサイドの共謀者となる恐れがあると警告。「イスラエルに対して影響力をもつ国家、特に米国やドイツ、さらには欧州連合(EU)諸国や英国など主要武器供給国は、ガザのパレスチナ人に対するイスラエルの残虐行為を直ちに終わらせるため、今すぐ行動しなければならない」と述べ、「これはジェノサイドだ。今すぐ止めなければならない」と強調した。