ガザ住民の強制移動は「戦争犯罪」 人権団体が報告書
(CNN) 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は14日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区の住民を強制的に移動させてきた行為は戦争犯罪と人道に対する罪に相当するとの報告書を発表した。
国連によれば、ガザ地区ではこれまでに住民の90%超に当たる約190万人が避難を強いられている。
HRWは154ページに及ぶ報告書の中で、イスラエルがガザ地区で民家や民間インフラを意図的に破壊しているのは「緩衝地帯」や「回廊」を設けるのが目的で、パレスチナ人住民はそこから永久に追放される可能性が高いとの認識を示した。
HRWの研究員は「イスラエル政府が避難中のパレスチナ人を殺害し、食料や水の供給、衛生サービスを遮断しておきながら、パレスチナ人の安全を守っていると主張するのは無理なことだ」「イスラエルは広い地域でほぼすべてを焼き尽くし、パレスチナ人の帰宅を保証するという義務に公然と背いている」と非難した。
この報告書に対し、イスラエル軍は「国際法を守っている」と反論。避難命令の目的は、民間人を戦闘から守ることだと改めて主張した。
イスラエルの軍事行動をめぐっては、これまでに複数の人権団体や国連の調査機関が戦争犯罪に相当する可能性を指摘してきたのに対し、イスラエル側は強く否定している。
だがHRWは、ガザ地区北部で激化するイスラエル軍の攻撃で、さらに何十万人もの住民が移動を強いられるだろうと指摘。世界各国に向けて、イスラエルが民間人保護の義務を果たすよう圧力をかけるための制裁措置を呼び掛けた。また国際刑事裁判所(ICC)に対し、ガザ住民の強制移動を人道犯罪として捜査するよう要請した。