負傷したロシア兵、北朝鮮で治療 ロシア大使
(CNN) ロシアのマツェゴラ駐北朝鮮大使は、ウクライナで負傷したロシア軍の兵士数百人が北朝鮮で治療を受けていると明らかにした。北朝鮮によるロシア支援の詳細がまた一つ明らかになった。
政府系「ロシア新聞」がマツェゴラ氏に対して行ったインタビューの内容を9日に報じた。
マツェゴラ氏は、ロシアと北朝鮮との緊密な協力関係の事例として、負傷した兵士数百人が北朝鮮の保養所や病院でリハビリを行っていることを挙げた。
マツェゴラ氏の発言は、ロシアと北朝鮮が関係を深めていることを示す最新の事例だ。両国の関係は最近、冷戦以降かつてないほどの高みに達している。
ウクライナ当局や西側諸国の情報機関の報告によれば、北朝鮮はロシアに約1万2000人の兵士を派遣している。ロシアと北朝鮮は昨年6月、「包括的戦略パートナーシップ条約」を結んだ。条約には有事の際には相互に軍事支援を行うことなどが盛り込まれている。
ウクライナや西側諸国によれば、少なくとも昨年11月以降、ロシア・クルスク州に進出したウクライナ軍を撃退するために同州に派遣された北朝鮮兵のうち約4000人が死傷したと伝えられている。
米当局者によれば、ロシアは弾薬などの物資を搭載したコンテナ数千個を北朝鮮から受け取っているほか、ロシア軍は北朝鮮製のミサイルを発射している。
マツェゴラ氏によれば、北朝鮮はロシア兵の治療を無料で行っている。北朝鮮に対して費用の少なくとも一部を支払うと提案したところ、北朝鮮側が腹を立てて、二度とその話題を持ち出さないよう言われたという。
マツェゴラ氏はまた、ウクライナで死亡したロシア兵の子どもたちが昨夏、北朝鮮を休暇のために訪問したと明らかにした。両国の学生の交流も進んでいるという。
マツェゴラ氏によれば、ロシアは北朝鮮に対して、石炭や食料、医薬品を提供している。
老朽化した北朝鮮の医療インフラで、負傷したロシア兵がどの程度の治療を受けられるのかは分からない。
ここ数年で脱北した医師らは、劣悪な労働条件や、薬や基本的な医療品まであらゆるものが不足している状況を頻繁に口にしている。
一部の専門家からは、ロシア軍が採用している暴力的な戦術を理由に、ロシア兵が北朝鮮で治療を受けているとの発言を疑問視する声が出ている。
米シンクタンク戦争研究所(ISW)によれば、ロシアは負傷兵を治療することなく攻撃部隊に送り返していると伝えられており、このことは兵士の健康が一般的に無視されていることを示している。こうしたことから、ロシアが治療のためにロシア兵を北朝鮮に送っているとの主張に疑問を呈している。
ISWはそれでも、経験豊富なロシア軍兵士、特に将校が北朝鮮を訪れれば、ロシア軍は表向きは療養しながらも、北朝鮮と協力して、ウクライナでの戦争の教訓を広めることが可能になるかもしれないとの見方を示した。