ハマス大規模攻撃の原因は予兆見逃したイスラエル軍の「組織的な」欠陥 同軍調査
(CNN) 2023年10月7日に行われたイスラム組織ハマスによる大規模攻撃をめぐり、イスラエル国防軍(IDF)の備えと対応に「組織的な」欠陥があったことが分かった。同軍が実施し、27日に公開した調査で明らかになった。ハマスに関する情報収集の欠陥や誤った想定もあったという。
19ページからなる報告書によると、イスラエル軍参謀本部諜報(ちょうほう)局の「ハマスの戦略的目標、意思決定プロセス」、作戦計画に関する理解には欠陥があった。このことがハマスによる攻撃を阻止できなかった一因になったという。同国史上最大のテロとなったこの攻撃では1200人以上が死亡し、250人あまりが人質となった。
関連情報があったにもかかわらず、同局はハマスが積極的に大規模攻撃を計画する集団へと変化していたことを認識できなかったとされている。
報告書によると、ハマスは16年の段階で、パレスチナ自治区ガザ地区の国境を突破して「イスラエル領を占領」し、大量の死傷者を出すことを目的とした「大規模攻撃」の準備を始めていた。
報告書は、ハマスの「訓練演習」や作戦計画などを示す情報が「誤解」されたり、「非現実的」として却下されたりした複数の事例を特定している。
これらの兆候が適切に分析されていれば、ハマスの意図を明らかにできた可能性がある。
ハマスは軍備増強を加速させる一方で、故意に「平穏を求めているという誤った認識」を作り出していった。そして23年5月までには、ユダヤ教の祭日に「イスラエルの安全意識を打ち砕き」、「イスラエルの破壊を目的とした全面戦争」に激化させることを目的とした攻撃を行うことを決めた。
攻撃が発生したとき、IDFはその規模と激しさに「不意を突かれ」、国境防衛を担当するガザ部門は「数時間以内」に撃破され、指揮統制が崩壊した。
IDFの対応は「状況認識」の欠如、部隊動員の遅れ、部隊と兵器能力の配備不足によって妨げられたと調査は指摘。さらに、攻撃の規模に対して同軍の準備態勢は「不十分」だったとしている。
攻撃を阻止できなかったとして3月に辞任する意向を表明している同軍のハレビ参謀総長は、テレビ演説で調査結果に言及。軍の失敗を認めた。
イスラエルのネタニヤフ首相の首席補佐官は27日、ネタニヤフ氏はまだ調査を受けていないと述べた。