バンス氏、グリーンランドを訪問へ 現地の米軍基地のみ視察か
(CNN) 米国のバンス副大統領は妻のウーシャ氏に同行する形で、大いに物議を醸しているグリーンランド訪問を週内にも行う意向を表明した。
デンマークのフレデリクセン首相は25日、米国がグリーンランドに対して「容認できない圧力」をかけていると非難。トランプ米政権はデンマークの自治領であるグリーンランドの併合に強い意欲を見せている。
ホワイトハウスは以前、ウーシャ氏がグリーンランドを訪問し、世界屈指の犬ぞりレースを観戦すると発表していた。
バンス氏がその後同行を申し出たことで、圧力には拍車がかかったように見える。バンス氏によるとグリーンランド行きを決めた理由は「彼女(ウーシャ氏)に楽しみを独り占めさせたくなかったから」だという。
しかし訪問の内容には大幅な変更が施された。現在明かされているバンス夫妻のグリーンランドでの訪問予定地は、島の西端に位置する米軍施設、ピツフィク宇宙軍基地のみ。28日に視察するとしている。バンス氏のオフィスが25日に発表した声明によれば、同氏は基地で北極圏の安全保障問題に関する説明を受け、米軍兵士らと面会するという。
デンマークのラスムセン外相は26日、 公共ラジオの取材に答え、米当局者らの訪問計画の変更を歓迎。「グリーンランド社会」を訪れる予定をキャンセルして自国の基地を視察することには何の異論もなく、非常に前向きに考えていると述べた。

バンス氏が視察する予定のピツフィク宇宙軍基地/Thomas Traasdahl/Ritzau Scanpix/AFP/Getty Images
ピツフィク宇宙軍基地は、北大西洋条約機構(NATO)の枠組みの下で1951年から米国が運用。その前にはNATO当初の加盟国であるデンマークとの間で防衛協定が結ばれている。
当初グリーンランドへの訪問が発表された米当局者には、ウーシャ氏の他にウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)も含まれていた。その後ウォルツ氏は、安全保障上の情報流出に絡む異例の事案に巻き込まれている。米誌アトランティックの報道によると、ウォルツ氏はバンス氏やヘグセス国防長官らを含む高官らとの間で開設したグループチャットに誤って同誌の編集長を追加。中東イエメンの反政府組織フーシへの攻撃について、詳しい作戦計画を協議した内容が流出する事態となっていた。
バンス氏のオフィスが発表した上記の声明は、ウォルツ氏に言及していない。