風力発電事業で中国系企業の買収阻止、安保懸念でオバマ氏
ニューヨーク(CNNMoney) 米財務省は30日までに、中国系企業が西部オレゴン州で行った風力発電関連企業4社の買収に対しオバマ大統領がこれを認めない大統領権限を行使したことを明らかにした。
同省によると、これら4社の風力発電所事業の所在地が全て米軍事施設の近くにあり、安全保障上の問題が生じたことを理由にしている。米大統領が安保上の懸念を理由に企業取引を阻止したのは1990年以降では初めて。
買収が不許可となった企業は「Ralls Corporation」で、中国人2人が経営している。風力タービンを製造する中国系建設企業の関連会社ともなっている。
買収は今年終了していたが、オバマ大統領の拒否を受け、全ての利権の売却が命じられた。財務省は声明で、今回の措置は特定の取引案件を問題にしたもので、中国や他国による今後の海外直接投資の前例になるものではないと述べた。
同社の弁護士は声明で、今回の事業計画が絡む地域内では既に多数の風力発電が稼働しており、国家の安全保障に対する脅威は考えられないと主張。大統領の措置は正当化出来ないとし、法的な対抗手段を講じることも有り得ると述べた。一方、米財務省高官は、大統領の今回の決定事項は見直しの対象にならないと強調した。
対中貿易でのオバマ政権の強硬姿勢はブッシュ前政権時代より目立っている。世界貿易機関(WTO)などへの異議申し立ても増えており、今年の9月中旬には中国が輸出する自動車や関連部品に違法な補助金を支給しているとしてWTOに提訴していた。