「目標設定」だけでは業務は改善せず 適切な目標かどうかの検証を
エンロン社では1990年代末、販売担当者に対する歩合制の報酬が売り上げに応じて支払われると同時に、販売する商品の価格の決定権は担当者にあった。利益よりも売り上げの増加を優先することになったという点で危険かつ間違った目標設定であり、同社破綻の一因ともなったと論文は示唆している。
アリゾナ大学のオルドニェス教授は、設定された目標が、他の重視すべきものなどと相反する時や、目標設定が柔軟性を欠くものとなった時に問題が発生しやすいと指摘している。
この論文が最初に発表されてから3年以上が経過したが、単に目標を設定すれば自然と問題は解決されるといった姿勢から、より包括的に問題解決の方法を考えるといった姿勢への変化が感じられるとオルドニェス教授は語る。
米国の人事コンサルティング会社エーオンヒューイットの人材開発リーダーであるベアトリス・グレッチカンボ氏は、有能なリーダーや経営者には賢明かつ柔軟に目標を設定することが必要だとの見方を示す。
また、ここ数年で企業や経営者は、全員に同じ目標を与えるのではなく、社員それぞれの役割などにも応じて異なる目標を設定するようになっているとグレッチカンボ氏は指摘する。