相次ぐ火災で浮き彫り、クルーズ業界の現実とは
ただ、12年にイタリア沿岸で起きたコスタ・コンコルディアの座礁事故では32人が死亡した。
国際海事機関(IMO)は10年以降、全長120メートル以上の船舶を対象に新規制を導入した。しかしIMOの規制は大半が指針や提言にすぎず、取り締まりは各国の当局が担う。
だが、米テキサス州やマイアミなどを出港する客船は乗客のほとんどを米国人が占めるにもかかわらず、船籍が米国にあることはまれだ。例えばカーニバル社の客船は、多くがバミューダやバハマの船籍をもつ。
こうした実態に対して米国では、クルーズ会社が税逃れの目的で海外の船籍を利用しているとの批判もある。また、海外の船籍を使うことで米国の厳しい規制に従わずに済み、資格の不十分な乗員を海外で雇用できるという事情もありそうだ。しかし、運営会社側は、世界規模で運航を行っているからだとして、そうした慣行について弁明している。
トライアンフの事故原因などについての調査は、バハマの当局主導で行われる。