英政府、緊縮財政を推進 成長率予想は0.6%に引き下げ
ロンドン(CNNMoney) オズボーン英財務相は20日、議会で予算演説を行い、一般歳出の抑制をさらに強める方針を表明した。同国の今年の成長見通しが0.6%に引き下げられる中、専門家からは政府の緊縮策に批判の声も上がっている。
オズボーン英財務相は、財政規律の維持と積極的な金融政策が、最終的には同国に利益をもたらすと主張。「時間はかかるだろうが、正しい道からそれてはならない」と述べた。
予算案では、政府機関は保健省と教育省を除き、さらなる歳出削減が求められ、公務員給与の制限も延長される。
財務相はまた、2%の物価上昇目標(インフレターゲット)に向けた柔軟な対応ができるよう、イングランド銀行(英中央銀行)の権限を見直す計画を明らかにした。
だが、今年の1~3月期の英経済は3番底に陥る可能性がある。緊縮財政により国内需要が低迷し、国民の実質所得も下落。ポンド安にもかかわらず、ユーロ圏危機のあおりを受けて輸出も振るわないためだ。
英予算責任局は、今年の英経済の成長率見通しを1.2%から0.6%へと引き下げた。同局は、かろうじて景気後退は回避できると予測する一方、公的債務は16~17年に最大となり、国内総生産(GDP)の86%近くに達するとの試算を示した。従来は15~16年にピークを迎え、同80%になると予測していた。
一部のアナリストからは、財務相は景気浮揚に向けたより大胆な施策を行う機会を逸したとの批判も出ている。