大富豪たちの宝探し、氷の消えゆくグリーンランドで鉱物採掘に投資
作業員らは土壌サンプルを採取したり、送信機を搭載したヘリコプターやドローンを飛ばすなどして地表下の電磁場を計測。岩層のマッピングを行っている。データの分析には人工知能(AI)を用い、鉱床の正確な位置をピンポイントで割り出す。早ければ来年の夏にも採掘を開始する予定だ。
ブルージェイ・マイニングのボー・メラー・ステンスゴードCEOはCNNに対し、「グリーンランドで気候変動の結果や影響を目の当たりにすることには懸念を抱いている。しかし一般論として、気候変動は全体的に探査や採掘をより容易かつアクセス可能なものにした」と述べた。
同CEOによれば、気候変動のため海が凍らない時期が長くなるので、船で重機を入港させたり、採掘した金属を出港させるのが容易になるという。
また数百年から数千年地表を覆っていた氷が融解した陸地は、今やれっきとした鉱物探査の候補地だ。
デンマーク及びグリーンランドの地質調査当局によれば、グリーンランドは石炭、銅、金、レアアース(希土類)、亜鉛の豊富な埋蔵地になり得る。すでにグリーンランド政府は氷のない地域での資源の検証を複数回行っており、鉱物の採掘を通じた国内経済の多様化を念頭に置いているという。
米国北極研究委員会(USARC)のマイク・スフラガ委員長は、採掘に前向きな姿勢について、環境を顧みないものではないと指摘。グリーンランド政府が支持するのは責任を伴い、持続可能かつ経済的にも採算の合う開発だと強調した。
一方、米航空宇宙局(NASA)の科学者で海氷を研究するネーサン・カーツ氏は、北極海の海氷の大きな懸念として、過去数十年にわたり消失し続けている実態と、今後20~30年で消える恐れがあるとの予測に言及した。