「世界で最も珍しい」クジラを確認 NZ
(CNN) 2010年にニュージーランドの海岸に打ち上げられた2頭のクジラが、世界でも非常に珍しい小型のクジラ「バハモンドオウギハクジラ」だったことが明らかになった。
「海洋生物学」誌最新号で発表された。論文の共著者で、ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワの海洋ほ乳類コレクションの責任者を務めるアントン・バンヘルデン氏は「非常に貴重な発見だ」と述べた。
バハモンドオウギハクジラは鼻が長く、大型のイルカを思わせる外見。成長すると体長5メートルになると考えられている。大人になると大きな歯が露出することから「オウギハクジラ」という名前がついた。
打ち上げられたのは大人のメスと子どものオスで、発見された当初はミナミオウギハクジラだと考えられていた。死がいは打ち上げられた場所の近くの砂浜に埋められたが、専門家からの要望で今年初めに掘り返された。
「世界で唯一の全身標本が手に入った。残念ながら大人のメスの頭部は、砂浜の侵食によりすでに流された後だったが」と、バンヘルデン氏は言う。同種の標本はこれまで、ニュージーランドとチリ沖で見つかった3つのみで、どれも体の1部分にすぎなかった。生きている状態で見た専門家は1人もいない。
今回の発見で姿や大きさは確認できたものの、生態はベールに包まれたままで近縁種についての限られた知識から推測するしかない。バンヘルデン氏によれば、オウギハクジラは約2000メートルの深海まで潜り、海面付近にはめったにいない。イカを常食しているとみられている。