コロナ禍中の外食、屋内と屋外のどちらが安全? 専門家に聞く
(CNN) 米国では再び、人々が好みのレストランに詰めかけており、特に屋外と屋内にソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)のルールに従ってテーブルを配置している店が人気だ。
しかし、食べている間はマスクを外す必要があることを考えると、果たして対人距離を取るだけで新型コロナウイルスへの感染を防げるのか。感染症と屋内環境品質(IEQ)の専門家らに話を聞いた。
レストランで食事をする際、屋内と屋外のどちらがより安全か
「屋外で食べる方が店内で食べるよりもリスクは少ない。ただし、すべての人が6フィート(約1.8メートル)の距離を取り、給仕スタッフが全員マスクを着用しているという条件付きだ。それならリスクを最小限に抑えられる」と語るのは、テネシー州ナッシュビルにあるヴァンダービルト大学の医学部教授で、予防医学・感染症が専門のウィリアム・シャフナー博士だ。
またバージニア工科大学の土木環境工学教授で、新型コロナウイルスの感染について研究しているリンジー・マー氏は、「会話をしているだけなら、より大きな(呼吸性)飛沫(ひまつ)は、3~6フィート(約0.9~1.8メートル)以上は飛ばないことが複数の研究で証明されている」と述べた。
屋外での食事中、テーブルのそばを人が通る場合はどうか
シャフナー氏は、「われわれは、危険はないと考えており、あるとしても非常に小さい」とし、その理由として「新型コロナウイルスの感染効率を高めるには、屋内で少なくとも15分間の対面接触が必要」と説明した。
その上でシャフナー氏は、「リスクは非常に低いが、通行人がマスクを着用していることが条件」と付け加えた。
6フィートの間隔と仕切りで屋内での感染は防げるか
「屋内では、6フィート(約1.8メートル)の対人距離を取るだけでは不十分と考えている」とマー氏は指摘する。マー氏は、空気中に長時間浮遊する微粒子「エアロゾル」による新型コロナウイルスの空気感染に関する論文の共同執筆者でもある。
マー氏は、「まず、そのバーやレストランで十分な換気が行われている必要がある」とした上で、「食べている間はどうしてもマスクを外す必要があるので、(新型コロナウイルスの流行が)終息するまでは屋内のレストランに行くのは控えている」と付け加えた。
感染リスクの高い人は特に屋内レストランでの食事は避けるべき、と専門家らは指摘する。
米疾病対策センター(CDC)は最近、新型コロナウイルスの影響を最も強く受ける可能性のある人のリストに、妊娠中の女性、高齢者、心臓病、肺病、腎臓病、糖尿病、免疫疾患の患者、中等度から重度の喘息(ぜんそく)を患っている人、さらに体格指数(BMI)が30以上の人(米国民全体の42%を占める)を追加した。
レストランのHEPAフィルター付きエアコンで感染を防げるか
高効率微粒子空気(HEPA)フィルターは、ほこり、花粉、かび、細菌など、0.3ミクロンの大きさの浮遊微粒子を99.97%捕集するとされており、新型コロナウイルスの大きさは0.06~1.4ミクロンと考えられている。
「そして、フィルターは最も悪い測定結果で評価されるため、99.97%という捕集率は最も低い数値だ。また、これは大きさが0.3ミクロンの粒子の場合で、粒子がそれよりも小さい、あるいは大きい場合は捕集率が上がる。つまり、HEPAフィルターはほぼすべての粒子を捕集するということだ」と、環境衛生の研究者で、ハーバード公衆衛生大学院で「ヘルシービルディング」プログラムを指揮するジョセフ・ガードナー・アレン氏は言う。
しかし、HEPAフィルターは他のフィルターに比べて運用、維持、設置が難しいため、導入しているレストランはあるとしてもごくわずかだろう。
環境工学者のマー氏は、たとえHEPAフィルターを採用しているレストランでも、店内での食事には不安を感じるという。
マー氏は、「店内にHEPAフィルターがあっても私は屋外で食べる」とし、その理由として「空気中に放出されたウイルスが急速に薄まる可能性は、屋外にいる時の方がはるかに高いため」と述べた。
またマー氏は、フィルターに(ウイルスから)守ってもらうためには、ウイルスを含んだ空気が、自分に到達する前にまず空気処理システムを通過し、フィルターがウイルスを捕集する必要があると述べ、さらに次のように続けた。
「HEPAフィルターは、外の空気中のウイルスの量は減らせるが、ほとんどの感染は、大量のウイルスを拡散している感染者のそばに居合わせるなど、(感染者との)濃厚接触のような状況で発生する。そのような状況ではHEPAフィルターは役に立たない」
では、われわれは何をすべきか
外出時にはマスクを着用する、6フィートの対人距離を取る、頻繁にせっけんで手を洗う、空気の循環とろ過が十分確保されている屋外の場所に行くなど、公衆衛生上の助言に従うのが最善である、と専門家らは口をそろえる。