野生動物写真家大賞、トラの意外な姿とらえた1枚が受賞
(CNN) 英ロンドン自然史博物館が毎年選定する野生動物写真家大賞が今年も発表され、アムールトラの変わった仕草をとらえたロシアの写真家セルゲイ・ゴルシュコフ氏の作品が大賞に輝いた。
写真の中のアムールトラは上体を起こし、1本の木に抱きつくような姿勢を取っている。顔を上に向け、目は閉じている。
ゴルシュコフ氏はロシア極東の森に隠しカメラを仕掛け、11カ月以上かけてこの写真を撮影した。アムールトラの生息が確認されているのは、地球上でこの地域しかない。
審査委員長を務めたロズ・キッドマン・コックス氏は同作品について、「こんな場面はほかにない。なかなか目にする機会のない、隠れた一瞬を垣間見せてくれる。深い森の様子も神秘的だ」「低く差し込む冬の陽光が、古いモミの木とトラの巨体を覆う毛皮とを照らし出す。このアムールトラはメスで、木にしがみつきながら明らかな恍惚(こうこつ)状態にある。木にトラのにおいを嗅ぎ取り、自分のにおいもそこに残そうとしている」と語った。
アムールトラは前世紀の乱獲で絶滅の瀬戸際に追い込まれ、現在も密猟や伐採の脅威にさらされている。審査員を務めたロンドン自然史博物館のティム・リトルウッド氏は「トラが自然環境に溶け込む素晴らしい光景からは希望が感じられる。最近では、懸命な保護活動のかいあって生息数の増加も伝えられている」と述べた。
13日に行われた受賞者発表のイベントには英王室のキャサリン妃も参加した。