5万7千年前のオオカミの子ども、カナダの永久凍土で「完全保全」
(CNN) カナダの永久凍土の中に5万7000年の間隠されていたオオカミの子どものミイラ化した死骸が、ほぼ完全な姿で見つかった。研究チームは「これまでに見つかった中で最古の、ほぼ完全なオオカミ」と形容している。
オオカミの子どもは生後6~7週間のメスで、カナダ北西部ユーコン準州ドーソンシティ近郊の金鉱地で、凍土の壁に水を噴射する作業を行っていた作業員が発見した。
米デモイン大学のジュリー・ミーチェン准教授によれば、「ミイラはあまりにも完璧で、全ての皮膚とほとんどの毛皮、全ての軟組織が残っていた。しかも5万6000年前かその前後のものだった」
永久凍土で発見されたオオカミの子どもをX線撮影した画像/Government of Yukon/EurekAlert!
安定同位体分析の結果、このオオカミが生息していたのは氷河の後退期だったことが判明。「当時は氷河がそれほど多くなかったので、新鮮な水がたくさんあった」とミーチェン准教授は指摘し、オオカミの親子はサケや水鳥など、主に水辺の生物を餌にしていたと推定している。
DNA解析では、このオオカミがロシアやシベリア、アラスカから来た古代オオカミの子孫で、現代のオオカミの遠い祖先にあたることが分かった。
オオカミの子どもは生後6~7週間で死んだとみられる/Government of Yukon/EurekAlert!
永久凍土の中でミイラができるためには特殊な条件がそろう必要がある。シベリアではこれまでにも保存状態の良いオオカミの子ども数体が見つかっているが、北米で発見されるのは極めて珍しい。
ミーチェン准教授によると、ミイラができるためには地面が常に凍っている永久凍土の場所で動物が死に、すぐに埋まる必要がある。そうでなければ腐敗したり餌にされたりしてしまう可能性が大きい。
今回見つかったオオカミの子どもは餓死ではなかったことから、巣が押しつぶされて即死したと研究チームは推測している。この研究結果は21日の学術誌に発表された。