第2次大戦で撃沈の米海軍潜水艦「ハーダー」、フィリピン沖で残骸発見
(CNN) 米海軍歴史遺産コマンドは23日、第2次世界大戦期有数の名声を誇った潜水艦「ハーダー」の残骸が南シナ海で発見されたと明らかにした。最後の哨戒から80年後の発見となる。
歴史遺産コマンドによると、ハーダーはフィリピン北部ルソン島の沖合、水深約900メートルの場所に直立した状態で沈んでいた。日本の爆雷で司令塔の後部が損傷した以外は無傷だったという。
ハーダーは1944年8月24日、大戦中6度目となる哨戒の際、乗組員79人全員を乗せたまま姿を消した。
歴史遺産コマンドを率いるサミュエル・コックス退役海軍少将は声明で、「ハーダーは勝利に向かうさなかに失われた。我々は勝利と自由に犠牲が伴うことを忘れてはならない」と述べた。
米海軍の史料によると、ハーダーは44年8月22日、バターン半島沖合で日本の海防艦2隻を撃沈した後、さらなる攻撃目標を探して他の潜水艦2隻と共にルソン島沖合を北進した。
米海軍が所有するハーダーの写真/Naval History and Heritage Command
歴史遺産コマンドが引用した日本側の記録によると、8月24日午前には日本の第二十二号海防艦と戦闘になり、ハーダーは魚雷3本を発射したものの、これは目標を外れた。その後、第二十二号海防艦による5度目の爆雷攻撃で撃沈されたという。
歴史遺産コマンドによると、ハーダーの残骸は「ロスト52プロジェクト」から提供されたデータで確認された。この取り組みはティブロン・サブシー社のティム・テイラー最高経営責任者(CEO)が主導するもので、第2次大戦中に失われた米国の潜水艦52隻を発見する目標を掲げている。
当時のフィリピンは米国領で、41年12月の真珠湾攻撃直後に日本の攻撃を受けた。42年春には、ルソン島に駐留する米軍とフィリピン軍が日本軍に降伏。日本は東インド諸島や東南アジアから伸びる補給線を守る目的でフィリピンを活用した。
しかし44年半ばには、米国は太平洋での日本の優勢を押し返し、フィリピンでも形勢逆転をめざして上陸を計画していた。