マヤ文明の古代都市と数千の建造物、レーザー測量技術で発見 メキシコ南東部
(CNN) 科学者らがメキシコ南東部カンペチェ州でマヤ文明の数千に及ぶ建造物と大規模な都市を発見したことが分かった。学術誌「アンティクイティ」に10月29日に掲載された研究で明らかになった。発見された都市は近くのラグーンにちなんで「バレリアナ」と名付けられた。
科学者らはカンペチェをマヤ低地の考古学的「空白地帯」と呼んでいた。マヤ低地は現在のベリーズ、エルサルバドル、グアテマラ、メキシコ南東部にまたがる地域で、マヤ族は紀元前約1000年から紀元後1500年まで居住していた。
調査は、約3200キロ離れた場所から空中LiDAR(ライダー<光検出と測距>)技術を用いてカンペチェ東部の密林上空でレーザーを照射。葉に覆われた地表にあるものを明らかにした。この調査の範囲は約122平方キロに及んだ。
マヤ遺跡の他の中心都市と同様にバレリアナには貯水池、球技場、ピラミッド型の寺院、複数の広場を結ぶ広い道路があった。研究者らは、バレリアナとその他のさまざまな規模の農村部や都市部の集落で合計6764個の建造物を特定した。この地域の集落の密度はマヤ低地の他のすでに知られている場所に匹敵しており、考古学者らは少なくとも1940年代からカンペチェに多数のマヤ遺跡が隠されているのではないかと考えていたという。
相互接続された都市
測量データによって発見された古代マヤの建造物(中央)/Courtesy Luke Auld-Thomas
研究の共著者でテュレーン大学人類学部のマルチェロ・カヌート教授によると、カンペチェはユカタン半島北部とマヤ低地南部という二つの比較的探索が進んでいる地域に挟まれているが、考古学者たちはこれまでほとんどカンペチェに目を向けてこなかった。
ユカタン半島北部では、チチェン・イッツァなどのマヤ遺跡がよく目立つ。地形上、非常に簡単に認識でき、アクセスしやすいからだ。マヤ低地南部の遺跡もマヤの象形文字や文書、祭壇の情報源として考古学者にはよく知られている。
一方でカンペチェは何十年もの間、容易に到達することができず、その人工遺物が知られることもなかった。しかし、今回の新たな研究と他のLiDARによる調査が状況を変えつつある。
テキサス大学オースティン校の景観考古学者カルロス・モラレスアギラール氏は、この新しいLiDAR調査は、マヤの集落のつながりを浮き彫りにし、規模を問わずマヤの都市の複雑さを示唆していると指摘する。同氏はこの研究には関与していない。
「密集した居住パターンは、マヤ族が道路や土手道、住宅地、棚田、防御構造などの広範なネットワークを備え、景観管理が高度に組織化されていたことを示している」(アギラール氏)
今回の研究はさらに、マヤ族が「都市計画と水管理戦略の一部として陥没穴、隆起、くぼ地を利用」して、自然の景観に合わせてインフラを適応させたことを示している。
アギラール氏は、これらの発見はマヤの都市が孤立した都市国家または地方王国であったという伝統的な見解に疑問を投げかけるものだと指摘。占領の歴史を通じて領土全体にまたがり構築された、都市部と農村部の相互接続された広大なネットワークを示していると指摘した。