衛星写真が示す、超汚染性メタンを驚異的に排出している場所
メタンによる汚染は長い間過小評価され、十分に理解されてこなかった。成分の最大90%がメタンである天然ガスは、発電用の化石燃料として台頭している。しかし科学者らは、メタンが大気中に放出されてから最初の20年間で二酸化炭素の約80倍の熱を閉じ込めることを把握している。
衛星の初期の報告は驚くべきものだった。米国の石油とガスの6~7%を生産するにすぎない50万あまりの油井が、同産業のメタン汚染の約50%を生み出しているのだ。
衛星はトルクメニスタンとベネズエラのデータも収集した。いずれも主要石油生産国だ。
「メタンSAT」が収集したデータによるとパーミアン盆地は1時間あたり290トンのメタンを排出/MethaneSAT
この問題は、トルクメニスタンの南カスピ海盆地で特に深刻だ。同盆地は地球上で有数のメタン発生地域とされる。衛星データによると、この地域はパーミアン盆地の1.5倍のメタンを排出しており、その量は毎時440トンを上回る。
メタンサットは、世界最大の石油備蓄を誇る南米ベネズエラのメタン排出を示す最初の画像も生成した。しかしベネズエラは熱帯地方に近く、雲に覆われやすいため、メタン排出を捉えることは困難であることが分かった。
メタン排出への取り組みは、気候危機の進行を緩和する大きな可能性を秘めている。グローバル・カーボン・プロジェクトの議長でスタンフォード大学の気候学教授であるロブ・ジャクソン氏は石油・ガス産業はメタン削減を簡単に実現できると述べた。
一方で、同氏は気候危機には実際の解決策がさらに必要であり、それは化石燃料の使用を完全にやめることだとも指摘している。