トランプ政権、アラブ軍のシリア展開を検討 米軍撤収後
ワシントン(CNN) 米軍がシリアからの撤収を決めた場合、その役割をアラブ諸国の有志連合軍に肩代わりさせる案をトランプ政権が検討していることが21日までにわかった。
米軍がシリアで進める過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の掃討を完遂した後の対策とされ、新たに就任したジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)と次期国務長官に指名されたマイク・ポンペオ米中央情報局(CIA)長官が推進役になっている。
この問題の政権内の討議に詳しい消息筋が明らかにした。アラブ諸国の有志連合軍はエジプト、バーレーン、ヨルダン、クウェートやサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)などを想定。ただ、この段階で正式な合意は成立していない模様だという。
サウジの軍事的介入や資金協力を説得するため、同国に北大西洋条約機構(NATO)非加盟国が対象の軍事戦略上の重要な優遇資格を付与することも考慮している。この資格を授けた場合、米国はサウジの安全保障を長期間請け負う責務を抱えることになる。
シリアに展開するアラブ有志連合軍案はオバマ前政権時代の2013年に対ISIS戦略として浮上したことがある。ただ、同案はトランプ大統領がシリアからの軍撤収と他国による負担を一層求める考えを前面に出してから現実味を帯びることになった。
米国が最近実施したシリアの化学兵器関連施設へのミサイル攻撃は、米国の長期的な対シリア政策の目標に関する議論を強めることにもなっている。
一方、サウジのアデル・ジュベイル外相はCNNの取材に、米国とのこの種の協議を認め、他のアラブ諸国と共にシリアへの派兵を検討するとの考えを表明した。