AP通信、大統領執務室と専用機への出入り無期限禁止に 「メキシコ湾」表記巡り
(CNN) 米ホワイトハウスは14日、AP通信による大統領執務室とエアフォース・ワン(大統領専用機)への出入りを無期限で禁じると明らかにした。
AP通信は世界最大規模の報道機関で、今週、「メキシコ湾」の表記を巡りホワイトハウスからやり玉に挙げられていた。
トランプ米大統領は先月、メキシコ湾を「アメリカ湾」に改称する米政権の方針を発表。名称変更は複数の政府機関で実施されている。ただ、新たな名称を認めていない国もあり、AP通信は世界中に顧客を抱えていることから、トランプ氏の大統領令については認識しつつもメキシコ湾の表記を継続している。
他のグローバルメディアも同様の決定を下した。
だがホワイトハウスは今週、AP通信を名指しし、記者を大統領関係のイベントから排除。AP通信の写真家は引き続き出席を許可された。
トランプ氏が14日にフロリダ州の私邸「マール・ア・ラーゴ」へ出発する直前、政権はAP通信が今回の移動でエアフォース・ワンに搭乗できないことも確認した。
ブドウィッチ大統領次席補佐官はX(旧ツイッター)への声明で湾の名称を巡る論争に言及し、AP通信の決定は「分裂を招くだけでなく、AP通信の誤情報への傾倒を露呈させるものでもある」と指摘した。
さらに「AP通信が無責任で不誠実な報道をする権利は憲法修正第1条により保護されているが、これは大統領執務室やエアフォース・ワンのような限られた空間に自由に出入りできる特権を保証するものではない」とも述べ、「今後、この空間は政権の内密なエリアでの取材を制限されてきた数千人の記者に開放される」とした。
ただ、ホワイトハウスの敷地に入る許可証は今後もAP通信の記者に付与されるという。
14日の声明に関してAP通信にコメントを求めたものの、現時点では回答は得られていない。
AP通信はこれまで、法的な異議申し立ての準備があることを繰り返し示唆している。AP通信の職員の一人は匿名を条件に、「これ以上に明白な視点差別の例は思いつかない」と語った。