パリ・ノートルダム大聖堂の火災で焼け落ちた尖塔(せんとう)の再建計画として、ガラスの屋根と太陽光発電システム、屋上菜園を備えたグリーン建築が提案されている。
フィリップ仏首相が先月、再建計画の国際コンペを呼び掛けたのに対し、ベルギーの建築家、ビンセント・カレボー氏が拠点とするパリの事務所が案を出した。
プロジェクトのタイトルは、「再生」や「再創造」を意味するギリシャ語起源の「パリジェネシス」。ガラスとオーク材、カーボンファイバーでできた屋根が大きなカーブを描いて尖塔につながる。その先端には、焼け跡から見つかった風見鶏の像が元通りに取り付けられる。
大聖堂の聖歌隊にも自然光が降り注ぐ。屋上では慈善団体やボランティアが果物と野菜を栽培。年間最大21トンの収穫が見込まれ、それをホームレスの市民らに無料で配るという。
屋上で野菜や果物の栽培もおこなえるという/Vincent Callebaut Architectures
屋根には太陽光発電機能を備えたガラスを使い、シロアリの巣からヒントを得たという換気穴を設ける。尖塔の内部にたまる温かい空気は暖房に活用する。
ビンセント・カレボー事務所はこの案で「しなやかな、環境にやさしい未来の象徴」を目指し、「人間と自然のよりフェアな共生関係」を提示するとしている。