昨年4月の火災で尖塔(せんとう)が焼け落ちるなどの被害が出たフランス・パリのノートルダム大聖堂について、フランスのバシュロ文化相は9日、火災前と同じ姿で再建すべきだと表明した。
9日午前のラジオ番組の中でバシュロ文化相は、ノートルダム大聖堂の屋根や尖塔を現代的なデザインに変更すべきではないという「広範なコンセンサス」が得られたと説明。「同じ姿での再建を支持する世論において、広範なコンセンサスが浮上した」と述べ、「完全に同じになるとは言い難いが、尖塔の精神は残る」と語った。
ただ、最終的には「(マクロン)大統領が決定する」と言い添えた。
政権はいったんは、新しいデザインについて前向きに検討する姿勢を見せており、フィリップ首相(当時)が昨年、焼け落ちた屋根と尖塔の新デザインを公募する国際コンペを発表していた。
当初はこのコンペで優勝したデザインが採用される予定だったが、新型コロナウイルスによる都市封鎖の影響で再建作業が遅れる中、まだコンペの結果は発表されていない。
ノートルダム大聖堂は850年前の建造だが、尖塔などは19世紀に再建されていた。今回の再建でこのデザインを踏襲すべきか、それとも現代的なデザインに変更すべきかをめぐっては、火災が起きた昨年4月以来、論争が続いていた。
ビンセント・カレボー氏の設計事務所が発表したデザイン/Vincent Callebaut Architectures
建築家からのアイデア公表も相次いだ。昨年5月には建築家ビンセント・カレボー氏の設計事務所が、近未来的なガラスのデザインを採用し、太陽光発電や弱者のための都市農園を備えた設計案を発表していた。