トランプ関税が発動 世界貿易戦争激化の恐れ
ニューヨーク(CNN) トランプ米政権は9日、数十カ国に対し、新たな「相互」関税を発動した。金融市場の動揺、報復の脅し、そして自身の最大の支持者の一部から関税政策の撤回を促されたにもかかわらず、トランプ大統領は屈しなかった。その狙いは同氏が主張する通り、公平性を取り戻し、米国の製造業を活性化させることにある。
最大の標的であった中国からの輸入品には、現在少なくとも104%の関税が課されている。中国が8日までに34%の報復関税を撤回しなかったため、トランプ氏は当初発表したよりもさらに高い関税を課した。
相互関税率は、厳密には相互的ではなく、該当する国に対する米国の貿易赤字額をその国への輸出額で割り、それをさらに2で割ることで算出される。その幅は11%から50%と幅広い。メキシコとカナダを除き、米国の主要貿易相手国は今回の措置からほぼ逃れることはできなかった。欧州連合(EU)は20%、中国は34%、日本は24%、ベトナムは46%、韓国は25%の相互関税を課された。
これらの新たな関税率が適用される数日前には、メキシコとカナダを除く全ての国の輸入品に10%の基本関税が発動されていた(この10%は相互関税対象国には加算されない。例えば、日本には5日に10%が課されたため、9日の増加分は14%となった)。
トランプ氏は過去1世紀以上で最高となる関税を発表した先週、「我が国と納税者は50年以上もの間、搾取されてきた。しかし、もう二度とこのようなことは起こらない」と述べた。
今回の関税が発効する数時間前にもトランプ氏は同様の発言をし、他の国々、特に中国は「率直に言って、我々を見捨てた」と付け加えた。
米国人と世界中の人々は大きな代償を払うことになる。関税を支払うのはトランプ氏が標的とした国々ではなく輸入業者であり、そのコストは卸売業者、小売業者、そして最終的には消費者に転嫁されることが多い。しかし、海外の企業も窮地に立たされることになる。米国人は関税率の低い国から商品を調達する可能性が高いからだ。
最終的に、トランプ氏による関税は世界的な貿易戦争を激化させる恐れがある。既に米国への報復を激化させようとしている中国は、さらなる強硬姿勢を表明。中国商務省は8日、貿易戦争を「最後まで戦う」と宣言した。