AP通信の取材制限、米裁判所が「違憲」の判断 大統領の好き嫌いに基づく排除認めず
(CNN) 米ホワイトハウスが大統領執務室や大統領専用機での取材からAP通信を締め出した決定について、首都ワシントンの連邦地裁が8日、違憲とする判断を示した。
ホワイトハウスに対する仮処分命令を言い渡したのは1期目のトランプ政権で任命されたトレバー・マクファーデン裁判官。大統領の好き嫌いを理由にAP通信による大統領取材を制限しようとした政権にとって、大きな打撃となる。
判断の中でマクファーデン裁判官は、「政府はAPの処遇に関して説得力のある説明をしていない。憲法では、たとえ大統領執務室のような非公開の場であっても、見解に基づく差別を禁じている」と指摘した。
トランプ大統領は、自身が「メキシコ湾」の名称を「アメリカ湾」に変更した後もAP通信がメキシコ湾の名称を使い続けた罰として、AP通信の出入りを禁止した。
これについてマクファーデン裁判官は「たとえAPが政権の好まない用語を使用したとしても、政府はAPを同じ立場の報道機関と同等に扱わなければならない」と指摘。APの排除は言論の自由を保障する合衆国憲法修正第1条に違反していると断定し、政府による不当なAP排除の継続を禁止した。
ただしAPの取材制限が即座に解除されるわけではない。マクファーデン裁判官はホワイトハウス側に不服申し立ての猶予を与えるため、命令を1週間遅らせた。
AP通信は今回の判断について、「報道機関や市民が政府の報復を受けることなく自由に発言する基本的権利が認められた」と歓迎する談話を発表した。