米CIA、麻薬カルテルへの致死力行使の権限を見直し
(CNN) トランプ米政権が麻薬カルテルの撲滅を米中央情報局(CIA)の主要な任務に据えようとする動きを見せるなか、CIAがメキシコなどの麻薬カルテルに対して致死的な武力を行使する権限を見直していることがわかった。米当局者や情報筋3人が明らかにした。
今回の見直しは、トランプ大統領がCIAに対し、直接的な行動を取るよう指示したことを意味しているわけではない。今回の見直しは、CIAが合法的にどのような活動を行えるか、また、一連の選択肢のなかでどのような危険性が存在するのかをCIAが理解するのに役立つよう設計されている。このことは、トランプ政権がこの可能性をいかに真剣に検討しているのかを浮き彫りにしている。
麻薬カルテルに対して従来のようなテロ対策の手段を用いると、米本土から遠く離れた中東で行われる同様の作戦よりも、米国市民を巻き添えにする危険性がはるかに高いという一部の米当局者の懸念も明確になった。
情報筋のひとりによれば、CIAの弁護士が検討している問題の中には、いかなる作戦であっても米国人が誤って死亡した場合のCIAとその職員の責任が含まれる。
情報筋によれば、CIAの当局者は、従来は軍事目標とみなされていたものを追い求めるために使っていた資産を麻薬カルテルの標的に対して使用することに「慎重」だという。
トランプ政権は今年に入り、いくつかの麻薬カルテルを外国のテロ組織に指定した。現職および元職の当局者の一部は、こうした動きは致死的な行動の前提を築くための方途だと考えている。CIAすでに、武装可能な監視用ドローン(無人機)をメキシコ上空で飛行させている。
CNNは今回の動きについて、ホワイトハウスあるいはCIAのラトクリフ長官からの指示によるものなのか、あるいは、安全保障の関連機関は麻薬カルテルへの圧力を強めてほしいという政権からの明確なメッセージを受けて、CIA職員が慎重に計画したものなのか、判断できなかった。
CIAには、大統領からの適切な許可を得て、武力紛争を規制する一連の法律や規制を順守している限り、自ら致死的な攻撃を実行するか、あるいは、他国が致死的な攻撃を実行するために標的の情報やその他の支援を提供する法的な権限が備わっている。
しかし、被害を受けた場合に米政府を訴える資格を持っているかもしれない米国生まれの市民やグリーンカード(永住権)の保持者がはるかに多い場所で麻薬カルテルの関係者に対してそうした行動を取ることはCIAにとっては目新しいことといえそうだ。