長年にわたって真贋(しんがん)をめぐり議論になっていたオランダの画家ゴッホの自画像について、本物であると確認されたことがわかった。
ノルウェーのオスロ国立美術館と、オランダ・アムステルダムにあるゴッホ美術館が合同で調査を行い、「間違いなく」本物であると確認した。問題の自画像はオスロ国立美術館が100年以上前に購入していた。
新しい研究によって、以前に示された疑惑は根拠のないものだとわかったとしている。
/Nasjonalmuseet/Anne Hansteen
自画像は当初、1889年8月ごろにゴッホが描いたと考えられていた。当時は、ゴッホが南フランスに移り精神的な障害を経験した直後のことだった。専門家によれば、精神的な障害に苦しんでいた時期に描かれた唯一の作品だとみられている。
しかし、1970年代に入り、専門家から本物かどうか疑問の声が出始めた。色合いや主題の表現が、当時のゴッホの画風とは合致しないとの指摘が出ていた。
オスロ国立美術館はこの自画像を1910年にコレクションに加えたが、以前の来歴が不透明だったことも、真正性に疑問を投げかけることになった。
両美術館は2014年に共同で調査を行うことで合意。広範な調査を行った結果、この自画像は他のゴッホの作品と軌を一にしていることがわかったとしている。
ゴッホは1886年から1889年にかけて30点以上の自画像を描いていた。