米ノースカロライナ州でこのほど、古物店に寄付された1枚の絵画がスペインの画家サルバドール・ダリの作品と判明する出来事があった。店で働くボランティアの女性が価値を見抜いたこの絵画は、通常より大幅に高い値段で買い手が付くことになった。
ウェンディ・ホーキンスさんは週に2度、同州キティホークにある古物店でボランティアとして働いている。CNN系列局WAVYの取材に答え、店内の仕分け室で当該の作品を見つけたと語った。
他の多くの絵画とともに床に並べて眺めていると、その1枚だけが古く、特別なものであるように思えた。ホーキンスさんは店の了解を得て、作品を専門家に調べてもらうことにした。
古物店を運営する団体の責任者によると、店に寄付される美術品のほとんどは浜辺に立つバンガローを改装する人たちが持ち込んだものだ。これまでにも価値がありそうな作品の寄付はあったが、本物の掘り出し物が見つかったことはなく、今回も期待はしていなかったという。
ところが、調査の結果、当該の絵画はシュルレアリスムの芸術家、ダリが制作した作品集「神曲」の一部を構成する挿絵版画であることが分かった。作品にはダリ本人のサインも記されていた。
国際鑑定士協会の公認鑑定士でアートギャラリーも所有するメラニー・スミス氏はWAVYの取材に答え、あらゆる情報や文献を照合して検証したところ、本物である条件をすべて満たしていたと説明した。
ダリの「神曲」はイタリアの詩人ダンテの同名の代表作をモチーフにした版画作品集。スミス氏によれば、ダンテの執筆した詩の数と同じ100点の版画で構成されている。
誰が寄付したのかは明らかになっていないが、今回見つかった作品は前出の古物店で1200ドル(約12万5000円)で売却された。通常の売値は約10~50ドルだという。
売上金は、家庭内暴力(DV)や虐待の被害に遭った人たちの避難施設の運営に役立てる予定。