(CNN) 英ロンドンにある大英博物館のジョージ・オズボーン理事長は、同博物館から持ち出された収蔵品がオンラインで販売されていた件について、物品の一部は回収が始まっていると明らかにした。
オズボーン氏は、収蔵品とされる物品がオンライン販売されているとの警告に博物館側が適切に対処しなかったことが判明したことを受け、発言を行った。
盗難の規模はこれまで不明だった。大英博物館は以前、紛失品の大半はあるコレクションの「倉庫に保管されていた小品」であると発表していた。これらの中には、紀元前15世紀から紀元後19世紀までに作られた金の宝飾品、半貴石の宝石、ガラスなどが含まれている。どれも最近公開されたものではなかった。
元財務相のオズボーン氏は8月26日のBBCラジオ4の番組「トゥデイ」で、約2000点の収蔵品が紛失し、その一部はすでに回収されたと語った。
「我々は盗品を返還してくれる多くの誠実な人たちと関わっているが、そうでない人たちもいる」(オズボーン氏)
スキャンダルの始まりは、2021年までさかのぼるという。あるデンマークの美術商が大英博物館に連絡を取り、同博物館の収蔵品と思われる物品がオンラインで販売されているのを発見したと伝えた。オズボーン氏によれば、博物館側は当初、徹底的な調査を行ったと主張していたが、その後の調査の結果、当時の対応が不十分であったことが判明した。
「セキュリティーを改善する必要があるのは明らかだ」とオズボーン氏は指摘している。
大英博物館のジョージ・オズボーン理事長/Danny Lawson/PA Images/Getty Images
1753年に設立された大英博物館は、世界で最も有名で権威ある博物館の一つだ。ロゼッタ・ストーンやパルテノン神殿の彫刻などの印象的な歴史的遺物が展示され、世界中から観光客が定期的に訪れる。
博物館の名声、そして博物館が大英帝国の統治下で略奪された多くの美術品の返還を絶えず求められてきたことを考慮すると、今回のスキャンダルは大英博物館にとって大変恥ずべきものとなった。
ハルトビヒ・フィッシャー館長は25日に辞任。氏名などが非公表の職員1人が16日に解雇されている。
「大英博物館は間違いを犯した。それに対し我々は謝罪した。だが我々はこの混乱の収拾にあたっており、国と世界が誇りに思えるような大英博物館にするつもりだ」(オズボーン氏)
オズボーン氏は、現在進行中の警察の捜査によって、「気づけたはずの警告を博物館がいかにして見逃したのか」が明らかになることを期待していると述べた。
同氏は、大英博物館が盗品のリストを公表することは「当然のこと」だが、誰もがそのリストについて「可能な限り最善の方法」で対応するとは限らないという懸念があることを認めた。また、このようなリストを公表することは法執行機関の権限の範囲内であるとも述べた。
紛失品の回収作業における重要な課題の一つは、博物館内の物品すべてが目録化されているわけではないことだ。オズボーン氏は、今回の事件を受けて、職員はすべての収蔵品を目録化する作業を急ピッチで進めていると説明した。
「実際のところ、我々は全収蔵品に関する完全な目録を持っていたわけではない。もちろん警察の捜査もあるので、発言には気をつけなければならないが、何が目録化されていないかを知っている者は、それらを持ち出すうえで非常に有利だ」とオズボーン氏は語っている。