(CNN) 米マサチューセッツ州で第2次世界大戦に従軍した男性の遺品の中から日本の美術品が発見され、米連邦捜査局(FBI)が沖縄に返還した。
FBIによると、美術品は退役軍人だった父親の遺品を整理していた遺族が屋根裏で発見し、「極めて貴重なアジアの美術品」と判断してFBIに連絡した。FBIによると、この男性が太平洋戦争に従軍したことはなかった。
発見された美術品は日本に返還された/FBI
「巻物や陶器、古代の地図があった。古くて貴重なものに見えた」。FBIボストン支部の美術品犯罪調整官で、FBI美術品犯罪捜査班のジェフリー・J・ケリー特別捜査官はそうコメントしている。
「そこでちょっとした調査を行い、巻物は20年ほど前、FBIの国家盗難美術品ファイルに登録されていたものと断定した」
発見された美術品は、18~19世紀に描かれた6巻の巻物や、19世紀に手書きで制作された美しい沖縄の地図、皿や鉢、急須などの陶器や陶磁器など。
手書きで制作された沖縄の地図/FBI
首都ワシントンにあるスミソニアン研究所の国立アジア美術館で巻物を開いて調べたところ、琉球国王の色鮮やかな肖像画が現れた。
こうした美術品は、マサチューセッツ州で美術品と一緒に見つかったタイプ書きの手紙が手がかりとなって、第2次世界大戦の終盤に略奪されたものだったことが確認された。
「全てを合わせると沖縄の歴史の相当部分を物語る」とケリー氏は述べた。
「国家の文化的アイデンティティーは、美術品と歴史に尽きる」
「文化とはそうしたものでできている。それがなければ歴史は奪われる。文化を消し去る最も確実な方法は、その過去を消し去ることだ。従って、美術品や文化遺産の管財人たる我々にとって、本来所属する国の文明や文化にそれが返還されるよう全力を尽くすことは極めて重要だ」(ケリー氏)
FBIによると、美術品は先週、沖縄に返還された。ただ、沖縄の文化遺産はまだ数点が行方不明のまま、国家盗難美術品ファイルに登録されているという。