(CNN) 英領北アイルランドで、故エリザベス女王に敬意を表して新たに公開された女王と故フィリップ殿下、コーギー犬2匹の銅像が、一般市民の間で賛否両論を巻き起こしている。
地元自治体はCNNに対し、女王の銅像は「実際に見た人のほとんどから温かく受け入れられた」と述べたが、ソーシャルメディア上では女王に似ていないと揶揄(やゆ)する声も上がっている。
アントリム城庭園で公開された銅像/Antrim Castle Gardens
銅像の設置を知らせる自治体のフェイスブックの投稿には、「誰の像にでもなり得る」といったコメントや、銅像は「美しい」が「故女王に似ていないし、女王がいつも着用していた服装を表しているわけでもない」との意見も寄せられた。
自治体は投稿へのコメントを制限したが、議論はX(旧ツイッター)に広がった。銅像の画像は数十万回閲覧され、中にはかつて不評を買ったサッカーのクリスティアーノ・ロナウド氏の銅像と比較するユーザーもいた。「コーギー犬ですら混乱している」と書き込んだユーザーもいた。
この銅像は、英国で故エリザベス女王を記念して作られた最初の作品の一つ。アントリム・アンド・ニュータウンアビー自治区議会の委託を受け、芸術家のアント・ブレナン氏が制作した。ベルファストの北約30キロの場所にあるアントリム城庭園に設置され、今月6日に公開された。
銅像と、制作者のアント・ブレナン氏/Antrim Castle Gardens
遠くを見つめるエリザベス女王は、ツイードのスカート、ゴム長靴、チェックのベスト、ヘッドスカーフを身につけ、左腕にはハンドバッグを下げている。足元には有名なコーギー犬2匹がたたずみ、女王の背後には手を後ろで組んだ夫のフィリップ殿下が立っている。
自治体は「芸術は時に多様な意見を生むことがある」と認めたものの、「(女王の)彫刻が、隣に立つエディンバラ公フィリップ殿下の像と、愛情込めて作られた2匹のコーギー犬と調和していることに特に満足している」と述べた。CNNはブレナン氏にコメントを求めている。
2022年に亡くなったエリザベス女王は、世界で最も写真に撮られた人物の一人であり、何千もの絵画や彫刻の題材となった。そのため、女王をはじめとする英国王室のメンバーを描いた作品の中には、長年にわたり物議を醸すものもあった。
今年初めに英ファッション誌「タトラー」の表紙を飾ったキャサリン妃の肖像画も、メディアやオンラインで同様に意見が分かれた。ある批評家は「耐え難いほどひどい」と評し、他の批評家は「美しい」と評価した。
一方、チャールズ3世の戴冠(たいかん)式以来初めてとなる公式の肖像画も、背景が国王を丸ごと飲み込んでしまいそうなほどの燃えるような赤色で、議論を引き起こした。
また、よく知られている通り、00年に英画家のルシアン・フロイド氏が描いたエリザベス女王の肖像画は、それまでに描かれたロマンチックな女王の描写とは正反対のように見え、批評家と一般市民の両方で賛否が分かれた。