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映画に出てくる偽札はどこからやってくるのか?

Lewis Jacobs/Sony Pictures Television

リッチ・ラパポート氏は、米アトランタに拠点を置く映画用小道具会社RJRプロップスの創業者だ。RJRプロップスは、映画の撮影に使われる偽札作りを専門としており、同社の偽札は「ウルフ・オブ・ウォールストリート」や「ワイルド・スピード」といった映画やネットフリックスのオリジナルドラマ「オザークへようこそ」などで使用された。

しかし、偽札作りはデリケートなビジネスで、ラパポート氏は常に偽札調査官と連絡を取り合っている。

「(偽札を作るにあたり)法や規制について明確にしておきたかった。実は、小道具の偽札を製造する会社の大半は、違法な偽札を作っている。それが原因で映画がお蔵入りになったり、誰かが罰金を科されたり、投獄される恐れもある」とラパポート氏は言う。

厳密に言うと、米国で使用される偽札は、(1992年の偽造品検出法に概説されている)厳格な連邦規則に従って作られるべきである。例えば、片面だけ印刷する、あるいは本物よりも著しく大きくあるいは小さくする、などだ。しかし、中には規則に従わない者もいるため、多くの事件が起きている。

2001年にラスベガスで撮影された映画「ラッシュ・アワー2」の中には、約10億ドル分の本物そっくりの偽札もろとも爆破が行われるシーンがあった。しかし、爆破を逃れた偽札が流通してしまい、偽札調査官の介入を招く事態となった。

ラパポート氏は、連邦規則を順守するために政府と直接話し合いを持ちながら、考えうる最善の偽札の作り方を模索しているという。

ラパポート氏は2種類の偽札を作っており、1つはクローズアップ用、もう1つは約40センチの距離から本物に見える偽札で、同氏はそれぞれ「高級品」「標準品」と呼んでいる。

左が「標準品」、右が「高級品」/rjrprops.com
左が「標準品」、右が「高級品」/rjrprops.com

標準品の偽札は、両面印刷されているが、目の錯覚を起こす絵が組み込まれており、カメラで撮ると本物に見えるが、店で使おうとすると偽物とばれてしまうという。

一方、「高級品」の偽札は、映画の登場人物が札を数えたり、別の人に札を手渡したりするなど、札がクローズアップされるシーンで使われる。見た目が極めて本物に近いため、片面しか印刷しないという。

しかし、この高級な偽札も一見本物に見えるが、よく見ると印刷されている文字や印影が異なるなど、本物との違いは明らかだ。

rjrprops.com
/rjrprops.com

ところで、この偽札の値段は一体いくらか。RJRは偽札を100枚の束で販売しており、標準品が1束45ドル(約5000円)、高級品が65ドル(約7200円)だ。また同社は、実際に流通していたように見える「傷んだ」札も作っている。これらの札は全て手作りで、人手や手間がかかるため、1束あたり20ドル(約2200円)の割増料金がかかる。

RJRがこれまでに受注した最大の注文の1つは、ネットフリックスのドラマ「オザークへようこそ」で使用された偽札だ。ジェイソン・ベイトマン演じる主人公が、自宅の壁の中などに大金を隠すシーンで使われた。

Eliza Morse/Netflix
Eliza Morse/Netflix

撮影で使われる大半の小道具はレンタルだが、偽札はほとんどの場合、購入されるという。しかし、映画の撮影で本物の札を使う人はいないのだろうか。

ラパポート氏は「本物の金を使用しているアーティストは大勢いる」とした上で、「しかし危険なので、誰が本物を使っていて誰が偽物を使っているかは言えない」と付け加えた。

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