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制服といえば「チェック柄」、世界中で定番になった理由とは

テレビドラマ「デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~」の出演陣

テレビドラマ「デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~」の出演陣/Netflix

(CNN) 学生たちが夏休みから学校に戻ると、今や制服の代名詞となっているチェック柄の布地もプリーツスカート、上着、ネクタイに戻ってくる。チェック柄は長い間、教室においてもポップカルチャーにおいても中心的存在で、陽気なアイルランドのティーンを描いたテレビドラマ「デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~」や1990年代の大胆なファッションが登場する米映画「クルーレス」、あるいは2000年代初頭に活躍したロシアのポップデュオ「t.A.T.u.(タトゥー)」の刺激的な衣装を思い起こさせる。

チェック柄は米国では包括的な用語になっているが、英スコットランドのタータンやインドのマドラスなど、固有の歴史を持つ柄も含まれる。タータンはカトリックの学校の制服との関連が強く、マドラスは20世紀後半にラルフローレンやブルックスブラザーズなどのブランドによって普及し、米国の学校の定番となった。チェック柄は学問の場で広く受け入れられており、宗教系かどうかを問わず、メキシコから日本、オーストラリアまで世界中の学校が制服にチェック柄を取り入れている。

しかし、かつてスコットランド高地の人々のアイデンティティーと反抗の象徴だったタータンのようなチェック柄がどうしてシェール・ホロビッツ(クルーレスに登場する架空のティーン)の女子高生ファッションの究極のひねりとして採用されたのだろう。実のところチェック柄が国家のアイデンティティーの象徴としても学校の服装規定としても成功した理由は同じなのだ。

昨年スコットランドのダンディーにあるV&Aミュージアムで開催された展覧会「タータン」の共同キュレーター、マイリ・マクスウェル氏は「タータンは実際に帰属意識を伝える」と語る。

同氏は、スコットランド政府が管理するタータンの登録簿には何千ものバリエーションが公式に追加されており、厳格なルールに従いながらもデザインに「無限の可能性」を許容する柄になっていると説明した。赤、青、緑、白、黄色の織り模様でよく知られるロイヤル・スチュワートは英国王室の公式タータンであると同時にパンクカルチャーで採用された特に人気のあるバリエーションの一つでもある。1990年代にはヴィヴィアン・ウエストウッドがデザインした青とピンクのマックアンドレアス・タータンをナオミ・キャンベルさんが着用。2011年にはアラバマ大学が深紅、白、黒の柄を公式に採用した。

日本の学生=2013年/Zhang Peng/LightRocket/Getty Images
日本の学生=2013年/Zhang Peng/LightRocket/Getty Images

現在知られている最古のタータンの織物は、スコットランドのアフリック峡谷の湿地で発見された16世紀のものだ。タータンの柄はそれより何世紀も前から存在していたことは知られているが、どれほど前なのかについては意見が分かれる。

変化する連想

展覧会「タータン」では、その歴史や文化に対する影響などを扱った/Jane Barlow/PA Wire
展覧会「タータン」では、その歴史や文化に対する影響などを扱った/Jane Barlow/PA Wire

タータンを強力なシンボルにしたのは、チャールズ・エドワード・スチュアートだ。1745年にタータンを身に着けたジャコバイト軍を率いて、父を英国王位に復帰させようと試みたが失敗に終わった。

マクスウェル氏は「(スチュアートは)タータンを人々の格子柄にし、自身の大義のために戦う動きを作り出すために使った」「彼はすでにタータンが信じるもののために戦うよう人々を団結させる忠誠の布であるという考えを利用していた」と指摘した。

スチュアートの敗北後、英国の服装法によりスコットランドではタータンの使用が数十年にわたり制限されたが、19世紀初頭にビクトリア女王をはじめとする王室の支援を受けて復活した。この時代はハイランド地方の工芸品やライフスタイルが「エリート層に専有」されていたという。以前は戦場で遭遇する恐ろしいものだったタータンは今では地位や富という形で別の誇りを表し、名声や伝統をうたう学校が使うのに理想的な織物となっている。

マクスウェル氏は「これほど多くの重荷を背負った織物は他に思い浮かばない」「伝統的な布でありながら、非常に反抗的でもある」と話す。また、戦時中のハイランド連隊の制服や、英国の植民地支配、大西洋を横断した奴隷貿易を通じて世界中に広まり、帝国主義的な意味合いを持つ織物にもなった。

メキシコ・プエブラ市の学校の制服/Thomas Trutschel/Photothek/Getty Images
メキシコ・プエブラ市の学校の制服/Thomas Trutschel/Photothek/Getty Images

集団的アイデンティティー

米国でタータンが最初に取り入れられたのは、まだ英国の植民地下にあるころだった。歴史家で教育者のサリー・ドワイヤーマクナルティ氏によると、タータンが米国で学校制服の定番になったのは1960年代になってからだ。人気は10年間で「爆発的に」高まり、当時のカトリック系学校制服の大手供給事業者が市場に投入したという。

チェック柄はカトリックとすでにつながりがあったうえに、見た目も際立っていたとマクナルティ氏は指摘する。そして海外の国々と同じように、装飾を施すことなくさまざまなバリエーションを生み出せるチェック柄を使用することで学校は制服を通じてブランドを確立することができた。

マクナルティ氏は「チェック柄は重要な集団的アイデンティティーを生み出す。チェック柄によって生徒たちは学校に対する誇りを具現化できる。あるいは生徒たちは靴下を足首まで下げることでその画一性を拒否する気持ちを表現することもできる」と冗談混じりに語った。

ロシアのポップデュオ「t.A.T.u.(タトゥー)」は歌やパフォーマンスにカトリックの女子学生の装いを取り入れた/Bruno Vincent/Getty Images
ロシアのポップデュオ「t.A.T.u.(タトゥー)」は歌やパフォーマンスにカトリックの女子学生の装いを取り入れた/Bruno Vincent/Getty Images

制服は80年代後半まで教区や私立の学校にしかなかったが、公立でも試験的に導入され、米国の学校でチェック柄が広まることになった(クリントン元大統領は在任中、チェック柄の制服が学生による犯罪を減らすのに役立つと信じ、支持していた)。マクスウェル氏によると、90年代までには契約している事業者以外からでも制服を入手できるようになり、ギャップなどの店舗はチェック柄のスカートや上着を大量に仕入れていた。

チェック柄は今日、世界中のデザイナーやサブカルチャーのほか、テレビや映画でも使われ続け、さまざまな形で復活し、リミックスされ、分析されている。マクスウェル氏にとって95年の「クルーレス」は今でもお気に入りの解釈だ。またアリシア・シルバーストーンさんが着用した明るい黄色のチェック柄のスカートスーツは再現され続けている。昨年はキム・カーダシアンさんがハロウィーンで着用。クリスチャン・シリアーノ氏はスーパーボウルの広告用にデザインし直し、シルバーストーンさんが着用した。

原文タイトル:Dress Codes: How did plaid become popular for school uniforms?(抄訳)

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