長い歴史を刻んできたウイスキーのボトルが、間もなくあなたのものになるかもしれない。そのために数万ドルを支払ってもよければの話だが。
米ジョージア州ラグレーンジで瓶詰めされたそのウイスキーは、近くオークションにかけられる予定。 瓶には「オールド・イングレデュー・ウイスキー」の文字があり、 オークションを運営するスキナーによれば現存する最古のウイスキーだという。
オンラインで行われるオークションの期間は6月22~30日。先週発表された予想落札価格は2万~4万ドル(約216万~433万円)だった。
ジョージア大学の協力で実施した放射性炭素年代測定の結果から、ウイスキーが製造されたのは1762年と1802年の間である公算が大きい。おおよそ米独立戦争とウイスキー税反乱の時期に当たる。どこで製造されたのかは明らかになっていない。
スキナーで希少酒を担当するジョセフ・ハイマン氏は声明で、このウイスキーについて、「米金融大手JPモルガンが1940年代にワシントンの権力者層へ贈呈した貯蔵庫の中にあった3本のうちの1本で、唯一現存するボトルと考えられている」と説明した。
伝えられるところによるとモルガン財閥の創始者、ジョン・ピアポント・モルガンはこのボトルを頻繁に訪れていたジョージア州で購入。スキナーは瓶詰めについて、1860年代にラグレーンジで行われたとみられるとした。当時の標準的な慣習として、蒸留酒はオーク樽で何年も寝かせた後、デミジョン(細首の大瓶)に入れて保管していたという。
息子のジャック・モルガンは後に、このボトルをサウスカロライナ州出身の政治家ジェームズ・バーンズに贈呈。別の2本のボトルはフランクリン・ルーズベルトとハリー・トルーマンに1940年代初めにそれぞれ贈った。ルーズベルトとジャックは遠いいとこに当たる関係だった。
バーンズはボトルを親友であり隣人でもあったフランシス・ドレークに贈った。ドレークの家族はボトルを3世代にわたって守ったとプレスリリースにある。
同ボトルは現存する最古のウイスキーではあるものの、値段では最高水準に程遠い。2019年、60年熟成されたスコッチウイスキー「ザ・マッカラン」の1926年物がワインや蒸留酒の史上最高額で落札された時の値段は190万ドルだった。