著名人の偽の支持表明、大統領選めぐる誤情報戦争で氾濫 見分けるコツは?
ワシントン(CNN) 無党派の教育団体ニュースリテラシープロジェクトの研究者らは22日、選挙に関連する550件以上の誤情報事例を記録した新しいデータベースを立ち上げた。同団体は今秋の選挙が近づくにつれて選挙活動に関する虚偽の主張や、偽の支持を表明する投稿がSNS上で爆発的に増加していると警鐘を鳴らしている。
こうした虚偽の主張を示す最新かつ最も顕著な例は18日に現れた。トランプ前大統領が自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、人工知能(AI)によって作成された画像を含む投稿をシェアしたのだ。画像は、自分たちを「トランプ支持のスウィフティーズ」と呼ぶテイラー・スウィフトさんのファンからの支持が急増していることを示唆していた。トランプ氏は、ポップアイコンであるスウィフトさんからの間接的な支持に「受け入れる」と応じた。
SNS上でみられたバイデン氏・トランプ氏らの支持や反対を表明する偽情報/Source: News Literacy Project Graphic: CNN
スウィフトさんは以前、トランプ氏が大統領時代に「白人至上主義と人種差別をあおった」として強く非難し、20年にはジョー・バイデン氏を支持した。今回の大統領選ではまだ誰も支持していない。
トランプ氏が投稿したコラージュ画像のうち、スウィフトさんが「アンクル・サム」の衣装を着ている画像は明らかに加工されていたが、集会に出席した若い女性を撮ったもう1枚は本物に見えた。
AIの能力向上と危険性について啓発する非営利団体CivAIの共同創設者ルーカス・ハンセン氏によると、トランプ氏をたたえる大勢の笑顔のファンを捉えたとされる他の画像にはAI生成画像の特徴がいくつか含まれていた。
こうした画像は「エアブラシで大幅に加工され、高画質」で「全員の見た目が非常によく」、AI生成画像に共通する「強いボケと背景のぼかし」を利用しているという。
CNNが独占的に提供されたデータによると、ニュースリテラシープロジェクトが分析した拡散する投稿の約10分の1に偽の支持が含まれていた。これらの投稿は、NFLのクオーターバック、アーロン・ロジャースさん、俳優のモーガン・フリーマンさん、ミュージシャンのブルース・スプリングスティーンさんなどの著名人、元ファーストレディーのミシェル・オバマ氏など政治関係者からの支持または不支持を表していた。
この4人の人物を引用した投稿は少なくとも1000万回閲覧されているという。
同じ著名人がある候補者を支持した、または非難したと主張する別々の投稿が同時にSNS上に出回っていることも分かった。このことは、SNSユーザーが直面している、誤解を招く混沌(こんとん)とした環境を浮き彫りにしている。
ニュースリテラシープロジェクトは、一般的に著名人が政治的なメッセージが明示的に書かれたTシャツを着ている投稿を見たら、それは偽物である可能性が高いと指摘した。