もう見納め? 「絶滅危惧種」となった旅のアイテム10選
経費節減と売り上げ減少の圧力を受けて、航空各社は国際線のファーストクラスに投じる予算を削っている。
もっとも、ファーストクラスが依然として豪華な空の旅の象徴であることに変わりない。シンガポール航空はダブルベッドにシャンパン付きの専用客室を用意しており、仏エールフランスは現代絵画を機内展示している。
しかし多くの旅行者、というより会社の上司と経理は、ビジネスクラスに格下げすることを望んでいるようだ。
10.昔ながらの旅行トランク
一部の反時代的な頑固者を除けば、軽いスーツケースのおかげで旅が快適になったことを誰も否定しないだろう。
若きルイ・ビトンによって考案された豪華堅牢な旅行トランクは、今でも空港の荷物受取所でまれに見かける。しかし、多くの旅行者が求めるのは安くて軽い、車輪で運べるスーツケースだ。
ただ、合理性を追求する過程で何かが失われたのも事実。昔ながらの旅行トランクの売り上げ関して確かなデータは存在しないが、実感としては旧時代の遺物になっている。嘆かわしいことだ。
世界各地のステッカーを貼りつけて重い旅行トランクを運ぶのは、確かに難儀だった。しかし、それはあの伝統的な「グランドツアー」(英国貴族の子弟による長期旅行)の象徴であり、旅がまだ魅惑に溢れており、世界が未知の神秘と可能性に満ちていた時代の象徴だったのである。